老獪マハティール中国翻弄す
Japan In-depth / 2018年8月25日 11時31分
▲写真 訪日したマハティール首相(2018年6月12日)出典:マハティール首相Facebook
1981年から2003年までの前回の首相在任時代にマハティール首相が掲げたのが日本に見習えという「ルック・イースト(東方政策)」でマハティール首相の親日ぶりは有名で両国関係を大きく前進させる原動力になった。
だが2009年から政権を担ったナジブ前政権は中国寄りというより中国依存を極端に進め、マレーシアにとって採算も国益もないような大型プロジェクトを中国との間で次々と進めていった。この中国依存が習政権の「一帯一路」構想と合致し、中国もマレーシアというよりナジブ政権との関係を深化させることが中国の国益に叶うとして推進してきた。
▲写真 ナジブ前首相 出典:Najib RazakTwitter
ところが2018年5月9日のマレーシア総選挙でナジブ政権の腐敗・汚職体質を厳しく糾弾してきたマハティール氏率いる野党連合が同国史上初の政権交代を実現させ、ナジブ政権を打倒した。
再び首相に返り咲いたマハティール首相がまず取り組んだことは、政権公約で国民に約束した「脱ナジブ」、そしてそれはナジブ政権の「中国依存」を見直すことだった。ナジブ時代の中国との蜜月関係はマハティール首相による「マレーシアの国益、経済発展、国民の生活」という判断基準にそぐわないものと判断されて塗り替えが始まったのだ。その象徴的なものが中国の経済支援により中国企業がすでに着工を始めている「東海岸鉄道事業」で、マハティール首相はこの事業費総額200億ドル(約2兆2100億円)の中断を中国に直接伝えたのだった。
▲写真 マレーシアのナジブ大統領と中国の習近平国家主席(2016年11月) 出典:Najib Zazak
◆新植民地主義反対も表明し中国をけん制
8月20日の李首相との共同記者会見に臨んだマハティール首相はやや疲れた声ながら決然と発言した。「マレーシアが抱える問題に対して中国が理解を示してくれることを期待する」。つまりマレーシアが抱える深刻な債務の削減に取り組むための必要な措置として中国との大型プロジェクトを中断するのだということを強調した。
さらに「自由貿易は公平でなければならない」「新植民地主義は望まない。なぜなら貧しい国が豊かな国と競争するのは困難であるからだ」と発言した。この発言は会見場の中国人記者を除く誰もに「中国の不公平な貿易」「中国の植民地主義的外交関係」を連想させ、「よくぞそこまで言った」と心中で喝采したことと思われる。
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