老獪マハティール中国翻弄す
Japan In-depth / 2018年8月25日 11時31分
▲写真 マハティール首相と李克強首相との会談(2018年8月20日)出典:中国政府ホームページ
◆中国への心遣いも忘れないマハティール
だが、マハティール首相は同じ会見で「両国は重要なパートナーであることは変わりなく、数百年の交流の歴史がある」として中国との友好的政策は今後も継続する姿勢を示して、硬軟両用で中国への配慮もみせた。
中国訪問では8月18日に杭州市の大手ITのアリババを訪問して「マレーシアは中国から多くのことを学べる」と称賛したり、杭州から北京に向かう航空機を変更して鉄道を利用したりするなど、心憎いまでに中国への配慮と心遣いを演出したマハティール首相だった。
こうしたマハティール首相の中国訪問について、8月21日の定例会見で中国外務省の報道局長は「どんな二国間でも協力を進める時に問題が生じるのは不可避であり、問題はそれをいかに友好的に話し合いで適切に解決するかということだ」と今回のマハティール首相訪中での「東海岸鉄道事業の中断表明」が両国関係に深刻な影響を与えないとの見解を示した。中国としては精一杯の「強がり」でなんとか面子を保とうとしていることが表れている会見だったとの見方が支配的だ。
マレーシアはすでに着工している東海岸鉄道に関しては「中断による補償支払いが発生すれば支払う用意がある」と表明しており、多額の補償金を支払ってまで中断したい鉄道計画を承認したナジブ政権と推進した中国への批判がマレーシア国内の中国系を除くマレー系、インド系の国民から噴出している。
▲画像 赤の太線が東海岸鉄道(ECRL)事業計画 出典:マレーシア陸上公共輸送委員会ホームページ
対米関係で経済や安全保障で難しい局面を迎えている中国としては、東西航路の要衝マラッカ海峡を擁するマレーシアとの関係を悪化させることは外交戦略上望んでいない。それだけにマハティール首相の言動に「はらわた煮えくりかえる」状態でも大人の対応に終始せざるを得なかったというのが今回のマハティール訪中の構図と言えるだろう。したたかなマハティール首相が一枚上だった、ということであろう。
トップ画像:中国を訪問したマハティール首相(中央左)と習近平国家主席(中央右)2018年8月21日 出典 Dr MahathirTwitter
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