マケイン氏の日本観を振り返る
Japan In-depth / 2018年8月29日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・マケイン氏は日米同盟を強固に支持、日本との絆を強く主張。
・日本の国際的役割求め、消極的平和主義を痛烈批判したことも。
・日本はアメリカ政界の貴重な理解者、協力者を失った。
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アメリカの有力政治家ジョン・マケイン上院議員の死は内外での波紋をさらに広げた。アメリカのメディアもマケイン氏の軍人、そして政治家としての実績を詳細に報じ、その死を悼んだ。
マケイン氏がベトナムへの独特の思いを保ってきたことや私自身がその一端を直接に知る機会を得たことは前回のこのコラムで書いた。だが同氏が日本についても熱をこめた意見を語り、日米同盟を強固に支持していたことは、あまり知られていない。日本に対しては安全保障の基本のきずな堅持を強く主張しながらも、ときには日本の安保面での消極性を痛烈に批判もしていた。
▲写真 ジョン・マケイン上院議員(2017年10月31日)出典:マケイン氏Facebook
マケイン議員は1980年代から90年代にかけて、日米間の貿易摩擦が激しくなり、アメリカ議会でも超党派で日本への非難が高まったときも、一連の日本叩きの法案や決議案にはすべて反対票を投じていた。その反対の意見を議場で述べることも頻繁だった。
この時期に上院軍事委員会のメンバーだったマケイン議員は、対日強硬派が日本への貿易面での不満を安保面に反映させようとした。自衛隊のFSX(次期支援戦闘機)の問題でも、貿易と安保との区別を説いた。日本はアメリカにとって安全保障面では超重要だから貿易の不満のために安保関係までを崩すなという警告だった。私はこの時期からマケイン議員に会見を申し込み、安保や外交への意見をよく聞いていた。そのインタビューでも彼の日米同盟の重視姿勢はきわめて明確だった。
ソ連共産党体制の崩壊が明白となった1990年6月、日本側の一部に「ソ連の軍事脅威がなくなれば、アメリカは日米安保条約を必要としなくなる」という観測が生まれたことがあった。私がその観測を伝えると、マケイン議員は次のように答えたものだった。
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