マケイン氏の日本観を振り返る
Japan In-depth / 2018年8月29日 11時0分
「ソ連の脅威が減っても、なくなっても、アメリカの政権は共和党、民主党の別なく日米安全保障の利害合致の基本的枠組みは絶対に保持すべきだと考えるでしょう。議会の貿易問題での対日強硬派でさえ『日米安保は要らない』という意見はまったく持っていません」
「アジアにはソ連の脅威以外にも日米防衛協力を必要とする不安定や変動の要因が多いのです。朝鮮半島の危機、そして中国の膨張動向などがそれです」
東アジアの朝鮮半島や中国からの脅威的な動きについてマケイン議員には先見の明があったとさえいえるだろう。
だからマケイン議員はソ連崩壊以後、日本に対して日米同盟の強化策として防衛増強や負担増加を強く求めるようになった。一方で当時のアメリカ側リベラル派の間にあった「日本は防衛力を一定以上に強くすると、また軍国主義を復活させる」という日本警戒論には明確に反対していた。
「日本がまた軍事大国になる、とか、軍国主義を復活させる、という説には、根拠がありません。私はむしろ逆に日本の消極的平和主義のほうが問題だと思っています」
マケイン議員は1990年7月には日本に在日米軍の経費負担増大を求める法案を上院に提出したほどだった。日本にはアメリカとの同盟関係でもっと強く、もっと多くの防衛貢献を期待したわけだ。日本に対して、「普通の国家の防衛」「普通の同盟国の負担」を求めたのだといえる。
だから日本がその期待に応えようとしないときの批判は激しかった。1990年1月、クウェートを軍事占領したイラク軍の撃退のためにアメリカを先頭とする多国籍軍が軍事作戦を実行した。その際に、日本は戦争のための民間要員さえも送らなかった。資金だけを提供し、「小切手外交」と国際的に非難される結果となった。
このときのマケイン議員の日本批判は鋭かった。
「日本がアメリカの同盟相手であることを望み、世界各国との経済的相互依存を欲するならば、国際国家にふさわしい姿勢をとらねばなりません。世界でも最も異端な憲法の陰に逃げこんだり、少数の海運労働者の抗議を口実にしたりして、イラク攻撃のためのなんの行動をとらないままでいることはあまりに不適切です」
「世界の大多数の国家がサダム・フセインの侵略を阻止する必要を強く認識し、アメリカの行動への支援を明確にしています。日本だけはその決意が不明です。私はいま日本の友人たちにはっきりと告げたい。わずかな金額と言い逃れだけはもうたくさんだ。日本政府の形だけの支援表明は世界中の軽蔑と米国の敵対心の対象となるでしょう」
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