「一帯一路」に協力すべきわけ
Japan In-depth / 2018年9月7日 12時25分
文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・日本は一帯一路への敵対をやめ、中央アジア開発に協力すべき。
・中国の中央アジア支配は日本の安全保障の利益となる。
・中国の対日圧力を緩和し進出方向を変え過度な対立の緩和を期待。
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中国は一帯一路に力を注いでいる。高度成長が終わり経済施策として新市場の開拓が必要となったためだ。中央アジアやインド洋沿岸国への投資によりインフラ輸出を振興し同時に新市場を開拓しようとしている。その優先度は中央アジアにある。中国にとっては天然ガスと石油の確保、欧州との鉄道連絡も期待されている。
日本はこの中央アジア開発に協力すべきである。従来の一帯一路への敵対をやめ投資ほかで協力すべきだ。日本の安全保障環境を改善できるためだ。一帯開発により中国の中央アジア支配は日本にとっての利益となる。第一は中国をロシア、インドとの対立に追いやれること。第二は中国の進出方向を内陸に変化させること。第三は中国との過度の対立を緩和できるとだ。
図)中央アジア開発 作図)文谷数重
■ 中国の中央アジア支配は日本安全保障の利益
日本にとって中国の中央アジア支配は好ましい。
第一の利益は中国とロシア、インドの対立をもたらすことだ。そしてこれは中国の対日圧力の緩和につながる。
中国は一帯一路により中央アジアへの影響力を増している。天然ガス生産ではすでに最大の輸出先となっている。中国は中亜気道管-西気東輸と呼ばれる複数並行のパイプラインが敷設し中央アジアから上海、広州を結んでいる。中央アジアも乗り気だ。以前はロシアに買い叩かれていた。それを国際価格で輸出できるのだ。
また中央アジアでの鉄道建設も計画している。一帯一路ではCPEC(China-Pakistan Economic Corridor)が有名だ。これは中国から山岳地帯を抜けてパキスタンに向かう道路建設である。だが本命は中央アジア経由の欧州向け鉄道建設だ。特にカスピ海南回り、北回りの欧州向け輸送である。ロシアを経由しない。つまり標準軌で中国と欧州を結ぶためコンテナ積み替えが不要となる。中国は乗り気である。
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