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安倍首相「戦争手続き」をご存じですか? 昭和の戦争・平成の戦争 その5

Japan In-depth / 2018年9月18日 23時28分

ストーカーも、多くの場合、主観的には恋愛行為なのだと言えば、くだくだしい説明は不要であろうが、真面目な話、戦争にも法的な手続きが必要であり、軍人には国際法とモラルの遵守が求められるのだ。


真珠湾攻撃からさかのぼること4年、1937年7月に、北京郊外の盧溝橋という場所で日中(当時は中華民国)両軍の偶発的な武力衝突が起き。以降、宣戦布告なき戦争状態が続いていた。



▲写真 盧溝橋事件 宛平県城から出動する中国兵(1937年)出典:パブリックドメイン


宣戦布告しようにも大義名分がなかったことや、国際法上の交戦国となることで貿易に支障をきたすのを避けたかった、という理由があったとされるが、この状態もやはり真珠湾攻撃によって終わりを告げる。9日、当時重慶にあった蒋介石の国民党政府は、対日宣戦布告を行った。


……この原稿を書き終えようとした矢先、安倍首相が総裁戦後の臨時国会で、いよいよ憲法第9条に自衛隊の存在を明記する憲法改正案を提示する構想であるとの報道が流れた。


もう少し状況を見てからでないと、具体的なことはまだなんとも言えないが、憲法違反の疑いをもたれたまま命がけで任務を果たせと言われては、自衛隊員が気の毒すぎる、という主張には、違和感を抱かざるを得ない、ということは明言しておく。


なぜならば、日本国憲法は「陸海空軍その他の戦力」の保持を禁じているだけではなく、宣戦布告や講和など、戦争手続きに関する規定がまったくない。永久に戦争を放棄する、と規定したのだから、これで筋は通っている。それを、自衛のための武力行使は容認されるべきである、という論理で憲法を改正しようというのであれば、戦争手続きに関する条文も追加して、9条2項を書き直すのでなければならない。そうでなければ、自衛のためという大義名分さえあれば、宣戦布告無き戦争を始めても憲法に違反しない、という解釈がまかり通るようになろう。


このような発想で憲法改正を目指すというのであれば、それこそ立憲政治に対して宣戦布告なき戦争を仕掛けるようなものではないか。


(その4、のつづき。1,2,3)


トップ画像:開戦直前の真珠湾(1941年)出典 USN


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