1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

停電を人災と呼ぶ大新聞の非論理性

Japan In-depth / 2018年9月21日 16時4分

 




・発電所が大規模になる理由




 日本に限らず、発電所の規模は大きいのが普通だ。一か所に大規模な発電所を建設すれば管理費、保守維持費などを節約できるので経済性を考えれば当たり前の選択だからだ。例えば、英国の石炭火力発電所の規模を見ると、苫東厚真の165万kWに対し、Drax 198万kW、Cottam 201万kW、West Burton 201万kW、Eggborough 196万kW、Aberthaw B 161万kWと大型火力が並んでいる。




 特に、日本のように、エネルギー自給率が低く化石燃料を輸入に依存している国では、投資額節約の面からも大規模発電所が主体になる。燃料輸入には大型港湾が必要となることから、港湾を必要とする発電所を多く建設することは二重投資の無駄を生む。余分な投資による電気料金の上昇を避けるためには発電所を大型化することが必要になる。港湾を必要とする発電所が大型化するのは、燃料を輸入に依存する国では必然的な選択だ。また、原発も一地点に数基建設するのが世界共通だ。保守、管理の費用を考えれば大型化することによりコストを削減することが可能だからだ。




 東日本大震災時原発の停止が計画停電を招いたかのように朝日の記事中にあるが、間違いだ。日本の火力発電所は燃料受け入れのため沿岸部に建設するしかない。東日本大震災では、東日本の太平洋沿岸部にあった石炭火力、石油火力なども被災し運転できなくなった。燃料を輸入に依存せざるを得ない日本では避けられない停電だった。


 


・北電の苫東厚真が大型化した当然の理由




 北電が苫東厚真石炭火力の設備を大型化したのは、輸入炭受け入れ設備を建設した以上当たり前のことだ。日本海側に泊原発を建設したのも、地点を分散する観点からは当然のように思われる。北電は、道内で生産される国内炭を引き取るため内陸部に石炭火力発電所を建設せざるを得なかった。道内炭の生産数量は減少したものの、道内産業維持の観点から相対的に価格が高い道内炭も北電は消費を続けている。




 内陸部の石炭火力設備の老朽化が進んだことから、石狩湾に液化天然ガス(LNG)火力を今建設中だが、道内炭引き取りがあるため設備が使える間は新規の大型発電所の建設に踏み切れなかった事情もあるだろう。詳しくはWedge Infinityの連載「大停電は天災だけでなく地球温暖化でも引き起こされる」をお読み戴きたい。朝日も毎日も、分散したくても出来なかった事情と分散のコストには全く触れず、分散しなかったのは北電の責任というのは、かなり一方的な主張だろう。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください