1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

停電を人災と呼ぶ大新聞の非論理性

Japan In-depth / 2018年9月21日 16時4分


写真)石狩湾新港地域  出典)北海道電力ホームページ




 小規模火力をあちこちに建設したならば、北海道の電気代は、今のレベルにはとても収まらない。今年3月の輸入価格を基にすると、輸入炭価格1kW時当たりの燃料代3.8円に対し原油価格は11円、LNGは6.9円だ。仮に、苫東厚真を小型火力にしていたとすると、その分を賄うため建設可能なのは小型の石油火力しかない。燃料代の差だけで、電気料金を1kW時当たり数円引き上げることになる。小規模発電所への設備投資も考えると、電気料金は2,3割上昇することになるだろう。災害に備えて普段から余分な設備を持つ投資を行い、大型港湾のメリットを捨て高い燃料を使えという主張を朝日と毎日はしている。そんなことを道民は受け入れるのだろうか。




 自国内で生産される石炭を主たる燃料として発電を行っていた豪州は、地球温暖化問題への対処があり、石炭から天然ガスと風力、太陽光の再生可能エネルギーに電源を分散化している。その結果、豪州全体では過去10年間で電気料金は平均7割上昇した。また、風力発電量が3割になった南オーストラリア州の電気料金は世界一になったと地元紙は報道している。さらに、同州では風力発電が止まった時に停電が発生するようになり、送電系統の中に蓄電池を入れる一方、揚水発電所の建設も検討し始めた。電源の分散というのは簡単だが、それは費用との引き換えの話だ。分散をしても停電を完全に避けることが難しいことは世界の停電事故を調べれば分る。




・停電事故は人災?


 停電事故は様々な理由で起こるが、世界の大規模停電の事例で多いのは嵐によるものだ。


 世界最大の停電は、調査機関のロジウムグループによると、2013年にフィリピンを襲った台風ハイヤンによるもので、61億顧客数・時間になっている。2003年の北米大停電は5億9200万顧客数・時間だった。まだ道内で110戸の停電が解消していない(9月16日現在)が、今回の北電の停電事故の顧客数・時間は、北電のツイッターを基に計算すると1億時間弱になっている。(編集部注:契約口数に時間をかけたもの。今回の場合は、最初は最初は295万契約に停電時間を掛け、復旧に合わせ、契約数を減らす)




 北電の停電の少し前に台風により関西地区で停電事故が発生し、復旧に時間がかかった。朝日も毎日もこれは天災による停電と理解しているらしい。台風による停電も設備を地下に埋設すれば避けることが可能なので、地下化していなかった人災とも言えるが、朝日も毎日も主張しない。同じ天災でも地震による停電は人災になるという主張の違いはどこから来るのだろうか。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください