敗戦から得る、本当の教訓 昭和の戦争・平成の戦争 その8
Japan In-depth / 2018年10月5日 8時34分
▲写真 遊就館に展示されている九七式中戦車 チハ 出典:Wikimedia(by Kakidai)
真珠湾攻撃もそうであったが、たとえ局地戦で勝利を収めたとしても、その後どうやって戦いを収束し、なにが得られるのか、という戦略が欠如していたのだ。
ノモンハンでも航空戦が行われたが、日本の陸軍97式戦闘機は、ソ連のI(イリューシン)-16戦闘機を圧倒し、制空権は事実上、日本側にあった。ところが、前述の通り全面戦争だけは避けたいという陸軍上層部の思惑によって、敵地の飛行場や補給基地への爆撃を見合わせたため、数で勝るソ連空軍は爆撃を継続することが可能となり、日本軍の損害が拡大する結果を招いたのである。
制空権を手に入れながら惨敗した戦闘というのも、歴史上あまり類例がない。前回も述べたが、戦後生まれの日本人にとって大切なことは、昭和の戦争について知識を蓄え、正しい教訓をくみ取って行くことであり、敗戦の事実やその原因から目をそらしてはならない。
▲写真 飛行第64戦隊の九七戦乙型(キ27乙)。ノモンハン事件にて(1939年)出典:Wikimedia(Public domain)
ところが今、自衛隊をイラクまで派遣しておきながら、その部隊が残した日報の中に「戦闘」という文言があったことを、国民の目に触れさせないようにしようとするような政権が、自衛隊の存在を憲法に明記しようと訴えている。
悲惨で愚かな戦争を二度と起こしてはいけないのは、言うまでもないことだが、そのためにも、昭和の日本軍のごとき無能かつ無責任な「自衛のための実力組織」が再び登場することなど、あってはならないのだ。
トップ画像:擱座したソ連軍装甲車の横で機関銃を撃つ日本兵。(ノモンハン事件 1939年7月4日)出典 Wikipedia(Public domain)
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