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「ラジオのソニー」は終わる

Japan In-depth / 2018年10月14日 11時58分

「ラジオのソニー」は終わる


文谷数重(軍事専門誌ライター)


【まとめ】


・圧倒的だったソニーの高級ラジオのブランドが失われつつある。


・高級ラジオ市場は中国TECSUN製ラジオに奪われつつある。


・価格、DSP選局、電源、音楽再生の差で普及品でもソニーは敗れる。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=42466でお読みください。】


 


■ 「ラジオのソニー」は終わるのではないか?


かつてラジオはソニー一択であった。ICF-5800スカイセンサー投入以降は一強であった。高級機市場を支配し、普及品でも筆頭の立場にあった。だが、その地位は中国のTECSUN:徳生に脅かされている。愛好家はすでに中華ラジオにシフトしている。TECSUNのPL-380はソニーの30年選手ICF-7600シリーズの息の根を止めた。


今後は普及品でもソニーは敗北する。価格帯だけではない。DSP選局、電源、音楽再生でTECSUNは優越している。もし、TECSUNが日本市場に本格参入すればソニーのブランドは終わる。



▲写真 TECSUNのラジオ。左下はBCL用PL360。右は内蔵アンテナを省略し外部アンテナ端子をつけたPL380。左上は普及品のICR110。マイクロSDによるMP3再生等にも対応している。 写真提供:文谷数重


 


■ ラジオのブランド


ソニーは電化製品の王様だった。90年代まで家庭向け映像、音響、放送において圧倒的なブランドであった。ラジオではそれ以上だ。高性能品を揃え、ブランド・イメージを確立し、圧倒的な支配力を呈していた。


その濫觴(らんしょう)は70年代に登場したICF-5800にある。海外放送ブームにおいて中波、短波、FM対応かつ高感度・高選択性能をもつ画期的なBCLラジオとして市場を席巻した。



▲写真 80年代のソニー高性能ラジオ。上はICF-EX5、85年から今でも販売されている。下はICF7600D、最終型GRは今年販売が終了した。 写真提供:文谷数重


80年代には市場支配に至った。先進的な新商品を投入した結果だ。PLL回路を備えたICF-2001、それを小型化したICF-7600や今でも中波最高と呼ばれるICF-EX5だ。ほかにも航空無線対応のAIR-7も登場した。


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