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「ラジオのソニー」は終わる

Japan In-depth / 2018年10月14日 11時58分

90年代にはとどめとなるICF-SW100が登場した。これはICF-7600をさらに縮小したICF-SW1の後継である。カセットテープ大でありながら高感度高性能であった。



▲写真 左下がICF-SW100。20年前の南米遠洋航海の帰路、ミッドウェー沖で昼間にTBSラジオの表面伝播を受信できた。「毒蝮が聞こえる」で関東出身者は喜んだ。残2者は同時に発掘されたDATウォークマン。 写真提供:文谷数重


 


■ 中華ラジオの登場


いまではその支配力はない。徳生:TECSUNを筆頭とする中華ラジオが出現したためだ。


高性能ラジオはほぼTECSUNに駆逐された。同社の高性能短波ラジオは2010年ころから日本にも登場し、15年ころには新品購入での第一選択肢となった。


なにより同性能帯で圧倒的に低価格である。TECSUNの代表、PL-380はアリババ国際通販で4000円だ。性能的に競合するソニーICF-7600最終型は3万円以上していた。


またソニーは対抗できる新型ラジオを作らなかった。00年代以降には既存品の手直ししかしていない。そのため愛好家はTECSUNに移った。短波放送や長距離中波あるいは長波通信やFM異常伝播を受信する人々はそうした。


今後は普及品でもTECSUNへのシフトが進む。一般向けとしても有利に立っている。価格だけではなく性能・機能面でも優れている。具体的には選局性、電源、音楽再生である。TECSUNが日本市場に本格参入すればソニーのラジオは滅びるだろう。


 


■ DSP選局


TECSUNラジオは普及品でもソニーを圧倒する。


第1の理由はDSP(デジタル信号処理)の広範な採用だ。電波のデジタル・サンプリング選局を全価格帯で採用している。これは基礎的性能での優越を示している。


その利点は大きい。


まず操作が容易・確実になる。普及価格帯のラジオはダイヤル式のアナログ同調回路が多い。選局は敏感にすぎる。また周波数も少しずつズレる。完全デジタルのDSPにはそれはない。


小型軽量化もできる。ワンチップで済む上、コイルやバリコンの同調回路も省略できる。高性能確保のためのPLL回路や二重検波回路も不要になる。TECSUNはこのDSPを1000円台ラジオから使用している。対してソニーは1万円近くの製品からようやく採用される。つまり普及品価格帯で大きな性能差が出る。ソニーはTECSUNの下風に立つのだ。


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