「ラジオのソニー」は終わる
Japan In-depth / 2018年10月14日 11時58分
■ 電源
第2の理由は電源の世代差だ。
TECSUNラジオはリチウム充電池やUSB給電で動作する。その点で乾電池と独自アダプターのソニーに対して動作時間や既存品流用で圧倒的有利に立つ。これは中華ラジオの特徴である。リチウム電池と汎用USB動作は普及している。
なかでもTECSUNは一頭抜け出ている。まず電池は大容量だ。他社は小容量のBL-5電池が多い。ガラケーに多用されたタイプだ。対して同社リチウムラジオは大容量の「18650」電池を利用している。スマホ予備バッテリーの中身だ。
また乾電池タイプにも充電機能があった。TECSUNはニッケル水素電池なら外さずUSB充電できた。これも工夫である。
この点でもソニーはTECSUNに遅れている。電池は小容量の単3あるいは入手に困る単2乾電池タイプだ。持ちは悪い。電源アダプターは他社どころか自社でも互換性はない。50年前のセンター・マイナスも残っている。だから出先等ではコンセントの利用も面倒である。
▲写真 TECSUNのICR-110は「18650」とUSB動作/充電を採用している。そのため動作時間は法外に長い。またマイクロSDでMP3が再生できる。上は他社製V-115とBL-5電池。 写真提供:文谷数重
■ 音楽再生
第3の理由は音楽再生機能だ。
TECSUNの普及品ラジオはMP3に対応している。マイクロSDで音楽再生や録音ができる。つまりラジカセとなる。
ソニーのラジオにはそれはない。高性能ラジオはラジオ機能のみ。メモリー/CDラジカセには高性能ラジオの機能はない。ラジカセ部門との差別化や昔のMP3不採用の名残なのだろう。
なお、これも中華ラジオの特徴だ。中には液晶での曲名表示やBLUETOOTHでスマホのスピーカになるタイプもある。その中でもTECSUN普及品は優位に立つ。スピーカー・ユニットが比較的大きくラジカセとしても十分使える。そもそもラジオとしての受信感度も他の中華ラジオよりも高い。これも普及品ラジオとしての性能差となる。ソニーはTECSUNに勝てない。
▲写真 中華ラジオは多機能となっている。下のV-115はMP3の曲名と本質的に不要なスペクトラムが出る。上のROLTONのE500はポータブル・デジタル・スピーカーを名乗っているが、FM再生可能であり、懐中電灯機能もある。これも「18650」なので電池はまず切れない。 写真提供:文谷数重
■ ラジオのブランドは消える
ソニーはTECSUNに敗北する。その理由は以上である。
TECSUNの不利はデザイン程度だ。最新タイプは小さいプッシュボタンを多用している。その点で操作はやや煩雑である。年寄りには特に厳しい。
ただし、それは従来機では解決している。同社CR-1100ではシンプル操作を実現している。基本操作はダイヤル3つとシンプルに尽きている。単2電池・ACアダプター動作だがDSP選局だ。
仮に、その改良機がでれば勝ち目はない。ちなみにCR-1100とソニー主力機ICF-M780Nはほぼ同寸法だが前者は6000円、後者は1万円だ。さらにリチウム電池、USB電源、MP3再生をつけられればソニーは太刀打ちできない。
トップ画像:ソニー本社 出典 fkickr : xsix
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