「一帯一路」が招くウイグル人大弾圧
Japan In-depth / 2018年10月22日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・ウイグル住民への前例なき大量強制収容と洗脳工作が加速中。
・米報告書は弾圧背景に「一帯一路」指摘。対中制裁措置示唆。
・協力姿勢の日本官民は「一帯一路」の非人道的な面、考慮すべき。
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私が中国政府によるウイグル人弾圧に真剣な関心を向け、報道を始めてからもう十数年が過ぎた。中国共産党政権がウイグル人の宗教、言語、文化などを民族浄化に近い形で剥奪しようとする行動にはすでに長い歴史がある。しかし現在の大量な強制収容や残酷な洗脳作戦は前例がない。
なにがこの新たな規模での大弾圧の原因なのか。習近平主席の「一帯一路」構想がその直接の原因のようなのだ。非人道的な結果をももたらすその野心的な構想に、わが日本政府も協力の姿勢をみせることには再考が必要だろう。
▲写真 「世界ウイグル会議」議長ラビア・カーディル氏(中央)出典:United States Mission Geneva
「日本の人たちに同胞の抑圧の悲惨を知ってもらいたい。日本に行くのはどうしたらよいですか。」
ウイグル人女性のラビア・カーディルさんが私の手を固く握って、問うてきたのはもう13年も前、2005年のことだった。ワシントンでの彼女の講演を取材して帰ろうとした際、呼びとめられたのだ。
カーディルさんは中国の新疆ウイグル自治区で国家安全危害罪で6年も獄につながれ、アメリカ政府の支援で釈放後、移住を認められたばかりだった。その後は「世界ウイグル会議」議長となり、訪日も数回、果たした。
私は産経新聞中国総局長として1998年から北京に駐在して以来、いわゆるウイグル問題には関心を向けてきた。中国共産党政権の苛酷な措置は折にふれ、報じてもきた。その経験からワシントン駐在へと戻ってからも、ウイグル問題には関心を絶やさなかった。
ワシントン地区での活動を始めたカーディルさんとの出会いもその結果だった。
だが、2018年10月の現在、彼女が故郷に残した親族10数人が強制収容所に捕らわれた。中国共産党政権によるウイグル人弾圧は長い歳月、少しも減らないどころか、一気に次元を超えて悪化したのだ。アメリカの議会と政府の合同組織「中国に関する議会・政府委員会」の2018年度の年次報告が詳細に明かしていた。
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