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アメリカを侵す中国 その4 研究機関への干渉

Japan In-depth / 2018年10月28日 20時21分

アメリカを侵す中国 その4 研究機関への干渉


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視 」


【まとめ】




・中国統戦部は米学術研究機関に中国共産党が好む研究結果の発表期待し多額の寄付。




・中国共産党、対外的工作を「政治闘争」の一環と定義づけ。




・統戦部のはたらきかけは学問の独立への深刻な脅威。


 


【注:この原稿には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合、Japan In-depthのサイト https://japan-indepth.jp/?p=42642でお読みください。】


 


「米中経済安保調査委員会」の「中国の海外での統一戦線工作」と題する報告書は中国側の統一戦線の動きを以上のように総括しながら、アメリカに対する工作の具体例として米側の有力学術研究機関に中国共産党が好む研究結果などを発表することを期待して多額の寄付をしている事例を次のように指摘していた。


・2017年11月、董建華(とう・けんか:Dong Jian-hua)・初代香港行政長官が運営する非営利団体「中米交流基金」が外交政策研究で有名なジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院(SAIS)に寄付研究講座などのための資金を提供した。



写真)董建華・初代香港行政長官 

出典)Estonian Foreign Ministry


 




・董氏は、統戦部と密接な関係にある中国政府の諮問機関、中国人民政治協商会議の副主席を務めていた。その董氏が代表する団体からのSAISへの資金提供は中国共産党中央の意向を受けた統戦部による浸透工作の一環だった。


・中米交流基金はSAISだけでなく、ブルッキングス研究所、戦略国際問題研究所(CSIS)、大西洋評議会、アメリカ進歩センター、東西センター、カーネギー国際平和財団など、アメリカ外交政策の形成に強い影響力を持つ研究機関と研究活動などで提携していたことが判明した。


こうした指摘をみる限り、中国共産党によるアメリカを標的とした工作はきわめて多様で複雑な形で展開され、とくに豊富な資金が投入されていることがわかる。


アメリカの民間でも中国の統一戦線の危険性が指摘されるようになった。ワシントンに拠点をおく民間の安全保障研究大手シンクタンクの「戦略予算評価センター」は九月はじめに公表した報告書で中国の統一戦線工作部とその対外活動について詳細を伝えていた。


同センターでは中国の戦略研究で知られる日系米人学者のトシ・ヨシハラ氏が上級研究員を務め、中国研究部門にあって、この報告書でも統一戦線についての調査結果を発表していた。ヨシハラ氏は昨年までの十年余り、アメリカ海軍大学で教授を務めてきた。


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