フェイクニュースと報道の公平性 沖縄県知事選ファクトチェック
Japan In-depth / 2018年10月29日 16時2分
今回新たに導入されたのが、Fact-checking console(FCC)というシステムだ。これは、Twitterからデマや間違いと疑われるツイートを端緒情報として自動的に収集するもの。その上で根拠や理由のあるものだけを人の手によってピックアップし、残ったものを「疑義言説」としてファクトチェック対象にするというシステムである。これによって得られた疑義言説は69件。外部からの情報提供で得られた疑義言説は25件であったため、70%近くがFCCによる情報であることがわかる。
写真)FCCの仕組み
©Japan In-depth編集部
今回のプロジェクトで掲載された記事21本の内訳としては、発信者別にみると候補者による発言が10本、政治家による発言が8本と多くを占める。また、媒体カテゴリーとしては21本中、討論会での発言が8本、SNSが8本、ネット番組が2本であった。さらに、掲載見送りとなった記事を含めた全24記事の中でチェックされた情報のうち、正確と判定されたのが6本に対し、誤りと判定されたのが8本と最も多かったという。
次に、琉球新報の滝本氏が講演を行った。琉球新報は今回のプロジェクトに参加を決めた初めての、そして唯一の紙媒体のメディアである。この英断の理由について氏はこう説明した。第一に、翁長雄志前知事が否定してきた、普天間飛行場は何もないところに作った、等といった「沖縄フェイク」が蔓延している状況を無視できない、と実感したという。「沖縄の学生さんでもそれを信じている。新聞という情報を出している方として忸怩たるもの」と続けた。
また、怪しげな情報がSNSで広まることによって、その情報が永遠とネット上で生き続けることから、その影響力を消すことができないこと、今年2月の名護市長選挙で日本ハムが名護から撤退するという本当ではない情報が実際に広まった事例もあったこと、といった理由を挙げた。
また、選挙報道は公平性の担保の為、写真の数や行数など形式的な制約が多くある。選挙報道がはじめてであったという滝本氏自身が選挙報道を面白くしたい、という動機もあったそうだ。
写真)琉球新報東京支社の滝本匠氏
©Japan In-depth編集部
琉球新報は、取材班以外も含めた記者の感性、Twitterのホットワード、LINE@やTwitterによる読者の情報提供等を駆使してチェック対象を取捨選択しファクトチェックを行った。とはいえ滝本氏は、「事実を集めてきてそれに基づいて書く、という(普段の)記事の基本動作と全く同じだな、と個人的に感じた。」と述べた。
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