フェイクニュースと報道の公平性 沖縄県知事選ファクトチェック
Japan In-depth / 2018年10月29日 16時2分
一方で、「選挙期間中の有権者の投票行動に影響を与えないとまったく意味がない。」とし、選挙取材と並行的にファクトチェック記事を掲載することに対して強いこだわりを見せた。最後に課題として、言説選定の恣意性、つまり候補者の誰かに偏りが生まれる危険性、それによる記事の質の低下や、メインの選挙取材と並行して行うことによる人員不足等を課題としてあげた。
最後に行われたのはパネルディスカッション。フロアからの質問も飛び交い、今回のプロジェクトに限らず、ファクトチェックそのものや報道における公平性といったことをテーマに活発な議論がなされた。
写真)パネルディスカッションの様子
©Japan In-depth編集部
パネルディスカッションから参加したBuzzFeed Japanの瀬谷氏は実際に沖縄県に8泊9日滞在し、ファクトチェックを行っていたという。BuzzFeedは以前からファクトチェックに対して積極的なメディアの一つだ。わざわざ現地に行かなくてもいいのでは?という立岩氏からの指摘に対し、瀬谷氏は「現場ならではの、裏が取れるものがある。」と、述べ、さらにチェック対象となる言説選び等、現地にいるからこその利点はある、という見解を示した。また、現地取材をしながら東京にいるほかのメンバーに情報収集を頼む等、役割分担がスムーズになされていたようだ。
ファクトチェックはPV数が稼げないのではないか、という立岩氏の指摘に対し、瀬谷氏は「ファクトチェックは読まれないことはないというのが体感。」と反論したが、その上で「検証記事よりフェイクニュースやデマの方が拡散されている。」と述べた。
写真)BuzzFeed Japan瀬谷健介氏
©Japan In-depth編集部
今回論点としてあがったのが「公平性」である。琉球新報でもファクトチェックを行うことに対して編集局長が「選挙の公平性を留意していた。」と滝本氏は話す。表現によってはどちらか一方に影響与えることにならないのか、ということを気にしていた、という。
立岩氏も「選挙でファクトチェックすることはハードルが高い。最大の問題は公平性。」と考える。瀬谷氏も同意し、「候補者間で差がどうしても生まれる。その公平性も考えたが、検証不可能な言説もある。」と述べ、その点を社内で議論をしたようだ。
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