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高齢化対策と若き医療者の成長 福島からの発信

Japan In-depth / 2018年11月4日 12時0分


▲写真2 廃校となった旧古殿町立大久田小学校が介護施設に生まれ変わった「サテライト大久田リハビリテーション・ケアセンター」。提供:矢内康彦氏


論文は、掲載された雑誌のインパクトファクターで評価されることが多い。2017年のDMPHPのインパクトファクターは1.22で、三流誌だ。ただ、私はこの論文を誇りに思う。それは、この論文が医学的な価値は兎も角、社会的に意味があるからだ。


西川医師たちの記録は具体的かつ詳細だ。例えば、「学校と長期ケア施設は、グループ生活の点で同様の特徴を共有しているため、施設に最小限の変更を加えるだけいい」と述べる。そして、「音楽教室と図書館をリハビリ室に改装し(写真3)、大きなホールをレクリエーションスペースに、教師の部屋をスタッフ室にし、各教室を2つの住居に分けた。廊下に手すりを設置し、新しい住民の安全のためにバスルームを広げた」と具体例を挙げる。


サテライト大久田リハビリテーション・ケアセンターは2012年に開設され、定員は29人だ。2014年には外来リハビリが始まり、2017年12月現在、18人の外来患者が利用している。



▲写真3 音楽教室と図書館を改装したリハビリ室。提供:矢内康彦氏


少子高齢化が進むわが国で、学校から介護施設への転用は続くだろう。この記録は関係者の参考になる。


この論文は、誠励会グループは勿論、地元住民の協力なしではあり得ない。私は、このような論文を発表したときには、ご協力いただいた関係者にお礼を述べるとともに、一人でも多くの人に知って貰うために「アフターケア」するように指導している。これは、若手医師がネットワークを形成する上で、有用だ。


まずは、研究成果をフェイスブックやツイッターで報告する。このようなSNSは、自らと交流がある人に直接、情報を提供することが出来る。その中にはすでに信頼関係がある医師や研究者が含まれる。同じような問題意識を持っていれば、コラボレーションは容易だ。


ついで、メディアへの報告だ。福島の研究の場合、地元紙である福島民友、福島民報、さらに全国紙の福島担当記者に情報をいれる。長期にわたり活動していれば、顔見知りであり、メールやフェイスブックメッセンジャーで送るだけでいい。日本語の解説文を作成しておけば、多くの場合、何らかの記事として、地元の人に伝えてくれる。ウェブにも上がるため、福島や高齢者問題に関心がある人は、全国どこにいようとも、グーグルアラートなどの手段で記事を知ることになる。


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