ASEANでスー・チー氏四面楚歌
Japan In-depth / 2018年11月18日 11時0分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ロヒンギャ族への対応巡り、ASEANでスー・チー氏批判噴出。
・「恐怖へのトラウマ」でロヒンギャ族帰還事業スタートで頓挫。
・スー・チー氏への賞が次々と撤回。ミャンマーへの厳しさ増す。
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シンガポールで開かれていた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の会議で、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相が会議参加各国の首脳らから少数イスラム教徒ロヒンギャ族に対するミャンマー政府、軍、治安当局による人権侵害問題で厳しい指摘、批判を受け、苦しい立場に立たされた。内政不干渉が原則のASEAN加盟国や他国の人権問題には厳しい姿勢の米政府などから次々と飛び出した「ミャンマー批判」にスー・チー顧問はまさに「四面楚歌」の状態で、普段は絶やさない満面の笑顔を見せることはほとんどなく、トレードマークの鮮やかな生花の髪飾りだけが輝いていた。
シンガポールではASEAN首脳会議、ASEAN加盟国首脳に日米露中韓などの首脳も加わる東アジアサミット(EAS)、ASEANビジネス投資サミットなどが11月12日から15日まで開かれた。ASEAN首脳会議では加盟各国のうち、イスラム教国であるマレーシアのマハティール首相、世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアのジョコ・ウィドド大統領などからロヒンギャ問題への言及が相次ぎ、ミャンマー政府の姿勢に厳しい言葉が発せられた。
このうち歯に衣を着せぬ直言居士でもあるマハティール首相は会議の席や会見で「ミャンマーのロヒンギャ族への対応には憤りを覚える」としたうえで「こうした行為は古代には正当化されたかもしれないが、現代では許されない」「スー・チーさんには非常に失望している」「スー・チーさんは元政治犯としてロヒンギャ族が受けている苦痛を理解するべきである」と、ロヒンギャ問題での人権侵害を黙認しているかのような姿勢を厳しく指弾した。
タイのプラユット首相は厳しい批判の言葉は避けながらも「ASEANとして建設的にロヒンギャ問題に関わる必要性がある」と、加盟各国に訴えた。
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