「シャブ山シャブ子騒動」思考停止のメディア
Japan In-depth / 2018年11月24日 17時7分
我々の発信に対し、コメント欄などをみるとそのほとんどが批判的なものであり、中には電話やメールで罵倒してくる人もいた。しかし新聞各紙及びネットメディアによる有識者のコラムなどではこの問題の本質が捉えられ、「表現の自由は守られねばならぬが、今回のような社会的にバッシングを受けやすく、偏見にさらされている薬物依存症者などに対しては、いくらフィクションとはいえ番組制作者は配慮すべき。」というものであった。
また、実際に日本民間放送連盟「放送基準8章 表現上の配慮」には、「(56)精神的・肉体的障害に触れる時は、同じ障害に悩む人々の感情に配慮しなければならない。」との記載がなされている。
■ 「デイリー新潮」の主張
これら一連の騒動の最中、まるでゾンビのように描かれた薬物依存症者に対し、それを肯定するかのような記事をだしたのが「デイリー新潮」である。(参考:2018年11月15日掲載ウェブ記事)薬物依存症の専門家のコメントではなく、暴力団問題を得意とするノンフィクションライターらの著書から一部抜粋したものを掲載し(注:インタビューではなく単なる抜粋である)、さらには統合失調症や躁鬱病などの精神疾患までことさら危険視するような人権侵害レベルの記述までしている。
またこれもある著書からの抜粋に過ぎないが、「彼らの多くは『他人を傷つけたわけじゃないし、自分で覚醒剤を買って自分で使うのに、ぼくの身体がどうなっても、そんなの、ぼくの勝手じゃないですか』と弁護人に食ってかかるという。」という一部を抜き出し、「薬物依存症者=自分勝手」という実に単純な論理を展開している。
しかし、少年らがこの言葉を吐くことは、薬物依存症の治療や支援に関わるものなら誰でも知っていることで、それだけ薬物依存症者の中には、過酷な成育歴例えば、激しい暴力や虐待、実の親や近しい人からの性虐待、または親が何度も刑務所に入ったり、ネグレクトされるなど、生きていくことが非常に辛く困難な状況下に置かれている青少年がおり、生きることに絶望し、薬物依存という「緩慢なる自殺」という手段を選んでいるのである。ゆえにこの言葉は「自分なんかどうなってもいいじゃないか!」という大人に裏切られ、傷つけられ、誰も信じることができなくなった、少年たちの心の叫びなのである。
そういった薬物依存症の背景や実態も知らず、都合よく文字面だけを切り取って書かれた記事に対しては非常に憤りを感じる。
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