ゴーン報道に見る日本の労働倫理
Japan In-depth / 2018年11月28日 11時19分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018 #48ページ」
11月26日-12月2日
【まとめ】
・ゴーン氏逮捕への国内外の驚きの反応。
・プロテスタント流の労働倫理が染みついた日本社会。
・強気なロシア外交への対応策あるのか?
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カルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で逮捕されたのは先週月曜日だったが、今週も本邦主要メディアのルノー、日産、三菱、ゴーンに関する報道は止まらない。余波は当分続きそうだが、正直なところ、このフランス国籍を持つレバノン系ブラジル人の経営者の逮捕がこれほど世間の注目を集めるとは思わなかった。
驚きはこれだけではない。一部内外の欧米系識者がゴーン氏逮捕を「日産内の『日本株式会社』的排外主義勢力が今も『外人』を差別している何よりの証拠」だなどと、したり顔で分析しているのにはあきれ果てた。当該識者の名誉のため名は挙げないが、こうした人々の日本に関する記憶は1980年代で止まっているのではないか。
更に最も驚いたのは、多くの日本語報道が今回のスキャンダルを「ルノーとゴーンが悪者で、日産は被害者」という構図で報じていたことだ。それは警察のリークだろう。本件は所詮ビジネス、つまり金儲けと強欲の結果であって、そんな善悪の単純な話ではないことぐらい、ビジネスを知っている人なら当然分かっているはずなのに。
筆者が今週JapanTimesに書いたコラムでは、欧米的でも、日本的でもない、筆者独自の分析を行った。キーワードは「マックス・ウェーバー」だ。ウェーバーと言えば20世紀初頭のドイツの社会学者、「プロテスタントの倫理と資本主義の精神」という著作でキリスト教と近代資本主義の関係を考察した学者だ。若い人は知らないかな。
写真)マックス・ウェーバー
出典)Wikimedia Commons
簡単にいえば、清教徒などキリスト教「プロテスタント」が考える勤勉で禁欲的労働倫理が北部欧州における近代資本主義を発展させる理論的支柱だったということだ。筆者が初めてこの本を読んだのは大学2年生だったが、当時から欧州以外でこうした資本主義の精神を具現できる人々は米国人と日本人ぐらいだろうと思っていた。
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