陸自のAH-Xを分析する その2
Japan In-depth / 2018年12月1日 12時0分
▲写真 イージス・アショア 出典:USNI News(Public Domain)
であれば、安価な武装ヘリで済ませようということも、ある意味現実的な選択であると言えよう。このため各社とも汎用ヘリの武装型をAH-Xの候補と考えてきた。一般に攻撃ヘリより武装ヘリは安価である。これを導入し、輸送任務には武装を降ろして対応し、デュアルユースで運用すれば機数を減らして運用コストも下げようという考えも陸幕には存在する。
だが現実はそう簡単では無い。MHI、KHI、スバル三社とも武装ヘリの火器管制装置を開発した実績がなく性能に不安がある。またAH-Xの調達は少数、恐らくは30~40機程度であり、1機あたりの武装型の開発費は極めて高価になる可能性がある。このため汎用ヘリを利用して安くあげる、というコンセプトを実現できなくなる可能性がある。また武装ヘリと汎用ヘリを完全に両用で運用するのは訓練の面からも問題がある。
単に「安価な武装ヘリ」を求めるのであれば、UH-XやUH-60などの中型汎用ヘリよりも、より調達運用コストの低い偵察用ヘリと共用化する方が合理的だ。そうであればOH-1やOH-6Dの後継の偵察ヘリを採用し、武装ヘリを共用化する方がコスト面では有利となろう。またコスト削減という意味では国産ではなく、既存機の輸入に切り替えるべきだ。
▲写真 南アフリカ空軍・BK117 出典:著者撮影
現実問題として軽輸送や連絡に使われている観測ヘリが激減しており、これらの任務に支障がでている。AH-Xよりもむしろ観測ヘリの更新が必要では無いか。その場合旧式化したOH-6Dは勿論、全機が飛行停止から復帰するに10年はかかり、観測機能も低いOH-1も全機廃棄して、新たな観測ヘリを導入し、これの武装型を当てるというのも合理的である。
例えばOH-1、OH-6の後継機として武装型が存在するエアバスヘリの双発のH135Mを導入し、その一部を武装型とするならばLCCは大幅に低減されるだろう。武装化には同社のHフォースという武装キットを使用する。この場合新たな開発費が必要無い。H135Mの民間型は日本国内でも広く使用されており、海自も民間型のTH135を練習機として採用している。整備拠点も存在するので初度費もさしてかからない。
▲写真 airbusH135M 出典:Airbus
また既存のOH-6を延命化する、一部を追加調達するという手もあるだろう。OH-6にはボーイングの武装型のAH-6iが存在する。この場合既存の整備や訓練インフラを流用できる。陸自の既存のOH-6に延命措置を施し、あわせて新造のOH-6やAH-6iを輸入で導入するならばコストはかなり低減できるだろう。
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