漫画に描かれるスポーツについて スポーツの秋雑感 その7
Japan In-depth / 2018年12月8日 0時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・世界中で絶大なる影響力をもつ日本アニメ。
・本質的な議論なしに漫画の良し悪しは語れない。
・漫画文化が否定される陰に、現実と区別ができない大人の存在。
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剣道の大会では、実は二刀流が認められている。なんでもヨーロッパでは、宮本武蔵の本を読んで剣道を始めたという若者が多く、二刀流が結構盛んなのだとか(誰が教えているのだ?)。面白いな、と思って調べて見たところ、宮本武蔵の本とは、どうやら『バガボンド』(井上雄彦・著 講談社)という漫画のことであるらしい。
これはまったく、驚くべきことではない。スペインに語学留学した時に知ったのだが、スペイン語にもcomicとかanimadosという単語はあるものの、mangaとanimeはそのまま通じる。日本製は、別格の扱いを受けているのだ。
私自身、日本ではTVアニメなど何十年も見ていなかったのに、マドリードの下宿では、土曜の午前中は毎度Shin-chanを見て笑い転げていた。『クレヨンしんちゃん』(臼井儀人・著 双葉社)が人気を博していたのである。もちろん台詞はすべてスペイン語に吹き替えられていたのだが、描かれているのは子供の世界であるし、絵があるから、どのような状況なのか非常に分かりやすい。つくづくアニメは語学習得の強い味方だと思った。
これはなにも、スペインだけの現象ではない。
当メディアでもおなじみの、軍事ジャーナリストの清谷信一氏には『ル・オタク』(講談社文庫)という著作がある。タイトルの通り、フランスにおける日本のアニメ文化の浸透ぶりをレポートした佳作だ。海外でこうだから、わが国における漫画の影響力たるや、絶大という表現でも追いつかないほどである。
サッカー日本代表が、初めてワールドカップ出場を果たしたのは1998年フランス大会であるが、それ以降の代表選手は、ほぼ全員が『キャプテン翼』(高橋陽一・著 集英社)を読んでサッカーを始めた、という事実が、雄弁に物語っているのではないか。
ディフェンスでの「顔面ブロック」くらいは、まだ現実にあり得るとして、サッカーのキックでブロック塀を破壊するとか、キーパーが、ゴールの隅に飛んできたシュートを、わずかに手が届かないかと思いきや帽子ではじき飛ばすとか、前述の『クレヨンしんちゃん』とはまったく違った意味で笑ってしまう描写も多いのだが、それが人気の秘密でもあるのだろうし、小学生が、(練習すれば、こんなことができるようになるのかも)と考えてサッカーに励むのなら、それはそれでよいのではないか。
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