中国系企業有害物質垂れ流し ラオスで環境汚染
Japan In-depth / 2018年12月11日 21時31分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ラオスの中国系企業の工場周辺で環境被害発生。
・河川周辺で家畜や魚の異状死がつづく。
・経済援助と引き換えに深刻化する環境汚染にラオス政府の対応は?
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東南アジアのラオスで工場などからの廃液、有害物質が河川に流れ込み、それが原因とみられる家畜や魚の異常死が相次いでいる。異常死の原因とみられる化学物質を河川に垂れ流ししているのはいずれも中国系企業、工場とされ、ラオス政府は中国系企業に対してラオス国内の環境基準遵守を強く求める事態となっている。
ラオスはこれまで政府の親中国方針を受けて多くの中国資本、中国企業が進出、在ラオス中国人も増加傾向にあるとされるが、その一方で環境汚染や公害まで「持ち込みまき散らす」実情に工場周辺のラオス人住民は不満をつのらせており、地方政府や中央政府に断固とした姿勢をとるよう求めている。
11月30日に「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が伝えたところによると、首都ビエンチャンに近い川で約300キログラムの大量の魚が死んでいるのが発見された。川の近くには中国資本が入ったバナナの加工工場があり、そこから川に垂れ流しにされた有害な化学物質が原因とみられている。
▲写真 ラオスのビエンチャン 出典:Gerd Eichmann
ラオス当局によると11月7日、9日にはさらにビエンチャンに近いサントン地方を流れるトン川周辺のタオハイ、クラ、ヤナ・ナチャレムなどの村でも死んだ魚が大量に発見されたという。
ラオス当局の調査に対しこのバナナ加工工場側は責任を認め「今後3年から5年の間に約10万匹の川魚の幼魚を放流する」としているが、汚染された川の水質に関する具体的対策は打ち出していないという。
一方で地元当局はトン川の周辺住民に対し「川の魚を食べないこと、川の水で水浴びをしないこと、川の水を飲まないこと」という警告を出して被害に遭わないように呼びかけている。
地元当局は「川への有害物質の垂れ流しは明らかにラオスの法律に違反している」とし、その上で「もう一度このバナナ加工工場が環境保護の法律を破るようなことがあれば、工場操業許可を取り消す可能性もある」と今後は厳しい姿勢で対処するとしている。
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