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装輪155mmりゅう弾砲は必要か 下

Japan In-depth / 2018年12月15日 18時0分

ポーティ・システムは厳密には自走榴弾砲ではない。M777をスパキャット社とロッキード・マーチンUK社が開発した6×6軍用トラック、HMT(High Mobility Truck)を改良した8×6の車体と組み合わせたもので、砲は車体に搭載された状態で移動するが、射撃時は車体からクランク式のアームで砲を下ろして行う。言わば簡易型自走砲と牽引砲の中間的なシステムだ。要員6名が収容できるキャブは装甲化され、NBC防御機能も付加されている。弾薬は3発分の砲弾が砲本体に搭載され、車体には20発分の砲弾及び装薬が収納される。戦闘重量は12.3tでC-130による空輸が可能だ。英軍には採用されなかったが我が国の運用要求には合っているのでは無いか。


そもそも論でいえば、「装輪155mmりゅう弾砲」を導入、運用する予算的な余裕と観測手段があるのかという疑問がある。陸自には特科の観測手段が現在偵察ヘリOH-1はエンジントラブルで全機が飛行停止であり、2機でエンジン改修のテスト飛行を行っている。全機の改修が終わるのは早くても後10年は掛かる。しかもOH-1は旧式化したOH-6を更新するはずだったが、約250機の調達が34機で終わり、OH-6更新の計画もない。



▲写真 OH-1 出典:著者撮影


このためOH-6は減勢し、稼働率も落ちている。また鳴り物入りで導入されたヘリ型無人機FFOSや、その改良型であるFFRSは信頼性が低く、かつて筆者がスクープした通り東日本大震災やその後の熊本の震災でも一度も使用されることがなく、調達も打ち切られた。今後ボーイング傘下のインシス社の固定翼UAV、スキャンイーグルの採用が決定したが特科の観測用としては通信機能などが十分とは言えないだろう。そもそも観測手段が決定定期に不足している。



▲写真 PH-6 出典:著者撮影


対して仮想敵である人民解放軍始め諸外国の軍隊ではUAVを意欲的に導入している。また榴弾砲のみらならず、迫撃砲までGPS/ISNやレーザー終末誘導による精密誘導砲弾が採用されるようになっている。だが先述のように陸自の特科では未だに精密誘導砲弾の導入は無い。かつてコマツが研究していたが止めてしまった。またレーザーよる終末誘導はレーザーデジネーターによるレーザーの照射が必要であるが、陸自ではこのような部隊がこれまでなく、今年発足した水陸両用機動団内に初めて編成された。


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