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ファーウェイ排除の戦略的意味

Japan In-depth / 2018年12月18日 16時42分

 2018年8月に成立した米国防権限法は、ファーウェイなど中国の通信5社を名指しし、「安全保障」上、政府機関や取引企業の調達先から排除せねばならないと規定している。また「対象国」を唯一「中華人民共和国」と明記した上で、国防長官が国土安全保障長官と相談の上で、あるいは米連邦捜査局(FBI)長官が「対象国政府と関係がある」と「合理的に信ずる」いかなる企業も追加的に排除できるとしている。

 同法案は上院を87対10、下院を359対54の圧倒的多数で通過した。次世代通信規格(5G)をめぐる覇権争いが最終ストレッチに入った今、議会に背中を押される格好の米政権が攻勢を緩めるとは考えられない。

 今後、ファーウェイ等と取引のある企業は米市場から締め出されていく。取引を隠して営業を続けた場合は、巨額の罰金に加え、経営幹部の逮捕、収監といった事態にもなろう。もちろん日本企業、日本人経営者も例外ではない。

写真)ジョン・ボルトン大統領補佐官

出典)The Whitehouse

 ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は議会と調整を急ぎつつ、通信関連のみならず米企業の知的財産を窃盗したとみなされる中国の全ての企業を、米市場から締め出す方針も打ち出している。

写真)マルコ・ルビオ上院議員

出典)U.S. Senator for Florida, Marco Rubio

 その議会で対中強硬路線を主導してきたマルコ・ルビオ上院議員 は、「中国にサプライチェーンを有する米ハイテク企業は、いかに困難を伴おうとも依存の低減に本腰で取り組まねばならない」と経済界に警鐘を鳴らしている。

 今後はボルトン氏らと協力しつつ、罰則規定を持った具体的な規制策を打ち出していくだろう。

 同じくテッド・クルーズ上院議員も「ファーウェイは通信企業の皮をかぶった中国共産党のスパイ機関だ。その監視ネットワークは世界を覆い、その顧客はイラン、シリア、北朝鮮、キューバなどの『ならず者国家』だ」と国際的に排除を徹底すべしとの意見を公にしている。クルーズ氏は先の中間選挙で再選を決め、6年間は地位が安泰である。議会活動にじっくり時間を割ける。

 ルビオ、クルーズ両氏は、2016年、共和党の大統領候補指名を最終盤までトランプ氏と争った若手実力者である。当時は激しい人身攻撃を取り交わしたが、現在はトランプ氏との関係もよい。

 この2人に、対中全面非難演説で世界の耳目を集めたペンス副大統領を加えた3人が、目下、ポスト・トランプの最右翼である。少なくとも共和党政権が続く限り、対中締め付け強化は不変と見るべきだろう。中国としては、米政治に混乱をもたらすべくハッキング攻撃などを強めていくのではないか。それを防ぐ意味でも、米側では情報通信における対中締め付けを強めていくと思われる。

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