名画で知るベトナム戦争の教訓
Japan In-depth / 2018年12月24日 17時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・ベトナム戦争の名画『ディア・ハンター』を40年ぶりに観た。
・新生ベトナムの宿敵アメリカへの接近は歴史の皮肉。
・トランプ大統領の「アメリカ第一主義」が支持される理由がわかった。
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ベトナム戦争の名画とされたアメリカ映画『ディア・ハンター』を40年ぶりに東京で再度、観た。私自身の新聞記者としてのベトナム戦争報道を想い、その後のベトナムやアメリカの現実を重ね合わせて、いままた観た映画からは、いくつもの屈折した歴史の教訓を感じさせられた。
『ディア・ハンター』とはいまからちょうど40年前の1978年に公開されたアメリカ映画である。主題はベトナム戦争だった。タイトルの意味は文字通りの「鹿の狩人」である。実際に鹿狩りが盛んなアメリカのペンシルベニア州の山岳地域の小さな鉄鋼の町が最初で最後の舞台だった。主舞台はやはりベトナムである。
映画は1960年代後半、この町の若者3人が徴兵されて、ベトナム戦争に送られ、米軍兵士として数奇の運命をたどり、1970年代なかばにいたる、という物語だった。
ベトナム戦争が終わったのが1975年4月、挫折を味わったアメリカでは「ベトナム後遺症」が語られた。そのころに制作された初期のベトナム戦争映画の『ディア・ハンター』はアメリカにとっての苦悩や屈辱や悲劇を描き、大ヒットした。アカデミー賞をも獲得した。私はワシントンで観て、自分自身にも長いベトナム戦争報道体験があったために、衝撃や感動を受けたものだった。
▲写真 SA-2ランチャーの前にいる北ベトナム兵士 1960年代 出典:National Museum of the US Air Force
そんな映画がいまや東京で再上映されるとあって、この12月16日、有楽町の劇場でふたたび観賞したのだった。映画のストーリーは次のようだった。
山あいの鉄鋼の町で育ったロシア系移民の子のマイケル(俳優はロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーブ(ジョン・サヴェージ)の3人は親友同士で、ともに鹿狩りをする仲だった。3人ともベトナムで戦うことになる。
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