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トランプ流ディールで「米朝決着」あるか~2019年を占う~【朝鮮半島】

Japan In-depth / 2018年12月28日 22時39分

しかし、トランプ政権が北朝鮮と安易な取引をした瞬間、「北朝鮮の非核化」はただの看板となり下がってしまう。かつての1994年の米朝枠組み合意と同様に、事実上の核保有国の北朝鮮が残り、彼らは合意を隠れ蓑に秘密裡に核ミサイル開発を続けるだろう。2019年、米国が北朝鮮から「申告と査察」を承諾させるかどうか、ここはトランプ大統領の最終判断にかかっている。



▲写真 北朝鮮・金正恩委員長(2018年3月18日 平壌)出典:Blue House (Republic of Korea)


 


第2のシナリオ 北朝鮮が日本に急接近


米国が譲らず、北朝鮮に対する国際包囲網と対北制裁が継続した場合、北朝鮮が日本に急接近するシナリオが浮上する。


日米を離反させるため、北朝鮮が対日戦略を変更する―というのは北朝鮮の伝統的な手法だ。金正恩氏は拉致問題に直接関与していないため、いずれ対日交渉に臨むことは予測されてきた。韓国・文在寅大統領によれば、金正恩氏は「日本の安倍首相と協議する」との意思を示していた。内部からの情報でも「金正恩氏は『今後、日本と対話し、賠償金を取る』との意向だ」という情報がある。ただ、これまでは米朝→日朝との説が有力だった。北朝鮮は、米朝が進展すれば日本は米国に追随するとの見方をしており、米朝で米国から「安全の保証」を取り付け、日朝では日本から「1兆円~2兆円の資金」を引き出す計画だったとみられてきた。


北朝鮮内部情報によると、2018年年初から北朝鮮が対話路線に転換した最大の理由は2017年に中露が米国に同調、対北制裁が一段と進んだ結果、「このままでは2018年に大量飢餓が発生する」との恐れが出たためだという。


中朝、南北、米朝と首脳外交を進めた北朝鮮は中国から独自制裁の緩和を手に入れ、韓国から大規模支援の約束(板門店宣言)を取り付けた。こうした緊張緩和で北朝鮮は2018年秋ごろには制裁の一部は解除に持ち込めるとみていたようだが、米国による制裁維持で彼らの目算は大きく外れた。米朝が緊張状態に陥った場合、残るプレーヤーは日本である。


北朝鮮が日本に接近し拉致カードを持ち出せば、確かに北朝鮮問題をめぐる多国間の構図や雰囲気は変化するだろう。しかし日本の立場は「拉致、核、ミサイル」解決が日朝交渉開始の条件であることを日朝平壌宣言で明言しているため、そう簡単に彼らの思惑は通用しない。複雑なパズルが動き出す。


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