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トランプ流ディールで「米朝決着」あるか~2019年を占う~【朝鮮半島】

Japan In-depth / 2018年12月28日 22時39分


▲写真 日韓首脳会談(2018年9月25日 米・ニューヨーク)出典:韓国大統領府facebook


 


第3のシナリオ 日韓関係は信頼崩壊へ 南北融和はさらに突出


韓国政府は2019年を「建国100周年」として大々的に祝賀する。1919年は日韓併合時代の最大の反日運動「3.1独立運動」が起きた年で、この暴動を主導した民族主義者たちが中国上海に逃れ「大韓民国臨時政府」を立ち上げた。文在寅大統領は臨時政府こそが大韓民国のルーツであるとの「1919年建国論」の信奉者だ。


韓国政府は4月、「建国100周年記念式典」世界50か国の在外公館で開く。式典は反日民族主義で染まるだろう。1919年建国説は、戦争終結と朝鮮半島の南北分割占領を経た大韓民国建国(1948年8月15日)を否定している。つまり、文政権は建国のルーツを抗日運動の「亡命政権」とする「革命政権」なのである。


文大統領は2018年の「3.1節」をソウル市内の西大門刑務所で行った。この刑務所は日本統治時代の拷問室や刑場があり反日教育の現場として有名だ。文氏はここで「3.1運動の精神と独立運動家の生涯を大韓民国の歴史の主流に据えるだろう」と明確に述べている。従って慰安婦問題もいわゆる「徴用」に関する朝鮮人労働者訴訟も、現在の文在寅政権の歴史観からすれば「植民地支配という不法行為を前提とした慰謝料請求」なのである。韓国政府は「司法の判断を尊重する」との立場を表明した。これは美辞麗句にすぎない。実は日韓請求権協定は文在寅政権の韓国政府の視野には入っていないのだ。


韓国で日本企業への徴用に関する賠償訴訟判決は下級審で現在、2審9件原告約110人、1審3件原告約810人だが、新たな提訴の動きなどもあり、2019年はさらに増えることが予想される。韓国政府はこの問題の所管を李洛淵首相に一任、今後は官民共同委員会で対応を協議するとしているが、これは政府の判断を放棄したに等しい。今後の日韓関係に改善の要素はなく、信頼関係は崩壊への一途といえそうだ。


一方で、文在寅政権の南北融和への情熱は冷めることなく熱い。軍事部門の融和は目を見張る進展ぶりで韓国は武装解除に入ったといえる。韓国国防部の報告書から「北朝鮮の脅威」という文言が消え、南北最高指揮部も直通のホットラインの準備に入った。南北は平和時代に入ったとの認識で、米韓軍の戦時作戦統制権の韓国移管も韓国側は2019年から実質検証に入る。


経済分野では文政権は国内企業に対北訪問を積極的に働きかけており、大型訪朝団を次々に組織している。こうした働きかけは金正恩委員長の早期ソウル訪問の実現を念頭に置いたものだが、文政権の対北政策はいずれも国連制裁違反ぎりぎりのものが多く、米国の了解や国連の審査でその都度、もめているのが現状だ。金正恩氏が2018年内ソウル訪問を実施しなかったのは対価がないためだった。文在寅政権が金委員長のソウル訪問を実現するには米韓関係を犠牲にするほどの巨額の対価を支払わなければならない。


トップ写真:米朝首脳会談(2018年6月12日 シンガポール)出典:Shealah Craighead(Public domain)


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