バノン復活、トランプを救う? ~2019年を占う~【アメリカ】
Japan In-depth / 2018年12月30日 18時0分
株価を自身の政権運営の通知表のように考えるトランプ大統領の性格からして、こうした市場や経済の変調に関しては、引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)やムニューシン財務長官、はたまた貿易相手国の中国などの責任に転嫁してゆくだろう。
だが、真の政治リスクはトランプ大統領自身であるため、他者を非難することは本当の解決にはならず、かえって投資家の不安や怖れがこじれて増幅されてゆく。イケイケであった2017年と2018年のトランプ相場の大功労者であったトランプ氏は、2019年には一転して市場心理や景況感を悪化させる「A級戦犯」の地位に落ちてゆく。
また、持論である米墨国境の壁建設についてさらに意固地になり、大統領に譲歩するつもりがない民主党との対立は激化してゆく。マティス前国防長官やケリー前大統領首席補佐官など、大統領の暴走を止められる力量のある閣僚もいなくなった。
イエスマンに囲まれ「裸の王様」と化したトランプ氏は、支持者からの人気を保つために連邦政府機関の一部閉鎖を長引かせ、「外交のできる大統領」を演じるべく独断で行動する可能性がある。
米国を「世界の警察官」の役割から解放しようとしているトランプ大統領は、マティス前国防長官の反対を押し切って即興でシリアからの撤退を決断しており、市場から「地政学的リスク」と見做される恐れがある。
■ 策士バノンが復活か
こうして予測不可能なトランプ大統領は、身内の共和党を含むあらゆる国内外の勢力に対する孤立の度合いを深めてゆく。2019年には、トランプリスクで米国政治が危機的な状況に陥る可能性は高いと見る。支持率も急落するだろう。
だが、そうした大統領を「救済」して制御できる人物がただ一人、存在する。大統領の政治思想に大きな影響を与え、「陰の大統領」とまで呼ばれたスティーブ・バノン元首席戦略官兼大統領上級顧問である。「バノンがいなければ、トランプは大統領にはなれなかった」とも評されている。
写真)トランプ政権発足当時のスティーブ・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問(2017年1月25日)写真中央
出典)White House facebook
2017年8月にケンカ別れし、トランプ氏が「もう何の関係もない」とする元部下だ。筆者はこの「バノン復帰」というトランプゲームのワイルドカードで政権が息を吹き返す可能性があると見る。
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