バノン復活、トランプを救う? ~2019年を占う~【アメリカ】
Japan In-depth / 2018年12月30日 18時0分
そもそもバノン氏がトランプ大統領に解任された表面的な理由は、北朝鮮に対する攻撃を排除しなかった当時の大統領の方針と相反して、「米国の軍事的攻撃による解決策はない」「在韓米軍は撤収すべきだ」と主張したからである。
ところが、その後トランプ大統領はバノン氏の方針に沿った政策の転換を行い、2018年6月に北朝鮮の金正恩委員長と会談して、さらに在韓米軍の撤退をほのめかした。すでにケンカ別れの原因が、大統領の変化により解消されている。
■ トランプ政権は「バノン政権」
さらに、トランプ大統領が現在採用している「経済安保」「中国との対峙」や「米国第一」の具体的政策や手法を吹き込んだのは、バノン氏その人だ。
トランプ氏にあまり重用されていない「小物強硬派」のボルトン補佐官やナバロ国家通商会議(NTC)委員長ら雑魚には考えつかない、壮大で奇抜な「革命」のビジョンや大局的なシナリオを描ける人物だ。
独自の信念や思想を持たないトランプ大統領が、米国の伝統回帰の手段として「国境」「通貨」「国家アイデンティティ」を強調するのは、それらを用いた改革を唱えるバノン思想の信奉者であるからだ。
二人の関係が切れた今も、トランプ政権は「バノン政権」なのであり、その意味でバノン氏は、今のトランプ大統領を統制し得る唯一の人物と言ってよい。
バノン氏が政権から放逐された真の理由は、「バノンの存在感がトランプのそれを脅かすようになり、トランプがそれを不快に思った」ことだとされるが、軍師がいない状態で追い詰められた今、大統領はもう一度バノン氏を必要だと思っているのではないか。
写真)スティーブ・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問(当時 2017年1月25日 テーブル最奥)
出典)White House facebook
■ バノン氏がもたらし得る「安定」
バノン氏が政権に復帰すれば、暴走するトランプ氏の政策に一定の安定性が戻り、良し悪しは別として政治にも一貫性が見られるようになるだろう。そうなれば、たとえ政権の政策がより強硬になっても、一貫性と予測可能性を好む市場に安心感と安定感が戻る可能性がある。
バノン氏は2018年9月に、「新たな金融危機が迫っている。賢い人なら誰でもそう見ている」との見立てを披露し、「必要なのは根本的な改革だ」「米国は大きな鎌で一気に草を刈るような革命に突き進んでいる」と強調するなど、政権に必要な指針となる考えを持っていることを示唆している。
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