ペルーフジモリ家、いばらの道
Japan In-depth / 2018年12月30日 23時9分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・フジモリ元大統領の再収監、長女ケイコ氏の長期勾留は確実視。
・背景に政治闘争。司法内部の親・反フジモリ派対立も影響か。
・姉弟の関係に明るい兆しも、フジモリ家のイバラの道は続く。
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ペルーのフジモリ元大統領の長女で最大野党党首のケイコ氏が不正政治資金疑惑で“予防勾留”されてから12月末で2カ月となる。ケイコ氏の長期勾留見通しが強まる中、恩赦取り消しとされた同元大統領の再収監も確実視されるなど、フジモリ家は厳しい状況に直面している。
■ 消えない政治闘争説
ケイコ氏は去る10月10日、2011年の大統領選に絡む不正政治資金疑惑で一時身柄を拘束されたものの、1週間ほどで釈放された。ところがその後、検察は裁判が開かれるまで同氏の身柄拘束を裁判所に要請。裁判所は同月31日、36カ月の“予防勾留”処分を下した。検察の勾留要請はケイコ氏がいったん自由の身となってからわずか2日後に行われており、「ケイコ氏追及への司法当局のすさまじい執念」(リマの有力政治アナリスト)が感じられる。“予防拘留”といっても、事実上の投獄であり、実際、ケイコ氏はリマ市内の女性刑務所に収監されている。
「ケイコ疑惑」追及の先頭に立つペレス検事は、ペルーの過去3人の大統領、ガルシア、トレド、クチンスキ各氏の違法選挙資金疑惑の捜査も担当。また、同検事の要請に応じ、ケイコ氏の勾留を命じたコンセプシオン判事はかつて、マネーロンダリング容疑でウマラ元大統領夫妻の勾留を命じた人物である。こうした点から、今回の“ケイコ氏投獄”は司法当局による徹底的な不正摘発への決意を示すと受け取る向きも多い。
だが、その一方、司法当局の動きには政治権力争いの側面も見え隠れする。リマの政界筋は「背後で現政権が司法当局をあおり、フジモリ派の一掃を企てているふしがある」と話す。少数与党政権を率いるビスカラ大統領が、国会で多数派を占めるケイコ氏の「フエルサ・ポプラル」(FP)の勢力をそぐ“絶好の機会”が来たと見ているのだという。
野党「アメリカ革命人民同盟」(APRA)幹部も「ビスカラ政権が司法を政治的に利用し、権力強化を図っている」と非難。これに対しビスカラ大統領は「私は憲法と三権分立を尊重しており、政府が司法に介入することはない」と強調するが、権力闘争説が依然くすぶる。
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