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ペルーフジモリ家、いばらの道

Japan In-depth / 2018年12月30日 23時9分


▲写真 ペルービスカラ大統領 April 2, 2018 出典:flickr Ministerio de Relaciones Exteriores


 


■ 司法内部でフジモリ派と反対派の対立説も


本来、一枚岩であるはずの司法当局で内部対立が生じており、政治権力争いにも影響しているとの説もある。ケイコ氏追及の急先鋒、ペレス検事は上司に当たるチャバリ検事総長と折り合いが極めて悪い。チャバリ検事総長は、司法汚職疑惑拡大の中スペインに逃れたとされるイノストロサ元最高裁判事との関係が疑われた人物で、ペレス検事は同検事総長を「辞任すべき」と強く批判。このペレス検事を断固支持しているのがビスカラ大統領、というのが現地での一般的な見方。


一方、FPが牛耳る国会は、チャバリ検事総長に対する疑惑追及の動きを数の力で抑え込んだという経緯があり、同検事総長は「フジモリ派ないし、フジモリ派に近い人物」(リマの主要メディア)とされている。加えてイノストロサ元判事は、ケイコ氏とのつながりもうわさされており、リマの複数の政界筋は「司法当局内部でのフジモリ派と反フジモリ派の主導権争い」と異口同音に語る。


チャバリ検事総長は「ペレス検事をいつでもケイコ疑惑追及担当から外す権限が自分にはある」などと発言。だが、ペレス検事はフジモリ派追及の手を緩める気配はない。同検事はケイコ氏だけでなく、同氏の側近ら11人のFP関係者の身柄拘束を要請、コンセプシオン判事がケイコ氏と同様に36カ月の“予防勾留”を命じた。


また、ケイコ氏の夫で米国人のマーク・ビラネラ氏(元IBMコンサルタント)も不正政治資金疑惑に絡んでペレス検事の捜査対象とされ、36カ月間ペルーからの出国が禁止された。さらにフジモリ家の長男ヒロ、次男ケンジ(国会議員)、次女サチの3人が経営する運輸関連会社にも検察の捜査の手が及んでいる。「司法当局によるフジモリ派への政治的迫害」(リマ政界筋)と検察への批判の声が上がるのも不思議ではない。


ペルーの名門カトリカ大のある政治学者は「ペレス検事とコンセプシオン判事の汚職疑惑への取り組みはペルー政治史上かつてなかったような高い世論の支持を得ており、一切の政治的妥協を許さないだろう」と指摘、ケイコ氏が早期に保釈される可能性は少ないと予想する。リマの有力紙の間でも、ケイコ氏長期勾留説が有力だ。


 


■ 姉と弟の仲直りが唯一の救い?


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