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アメリカvsイラン全面対決へ ~2019年を占う~【中東】

Japan In-depth / 2019年1月4日 18時34分

 


本年イランは、経済制裁の深刻な影響に直面しながらも、制裁解除に向け、イラク、レバノン、パレスチナ、イエメン、シリア、湾岸など多くの地域に揺さぶりをかけ、交渉のためのレバレッジを得ようとすることであろう。イランの思惑がすんなり進むほど情勢はシンプルではないものの、イランの揺さぶりを受けかねない国においても、利用されかねない内外政上の不安定が存在している。


 


米国の中東和平等への偏よった肩入れは、パレスチナやシリア、あるいはイランやイランの支援するヒズボッラー等の勢力やアラブ諸国民の抵抗を活性化するかもしれない。米国は、湾岸の富裕諸国が形成するGCCにエジプトとヨルダンを加え、対イラン包囲網を築こうとしてきた。しかし、米国がイスラエルに肩入れしすぎると、これらの国々の世論も穏やかではないはずだ。


 


また、昨年のトルコにおけるサウディ人ジャーナリスト、ハーショグジー(カショギ)氏殺害事件は、湾岸王政の非人道性や不思議さを世界に暴露したが、その後もアラブ首長国連邦やバハレーン等での人権問題が報道されており、油価の低迷による経済問題と共に、湾岸諸国内の不安要素は一朝一夕には解決されそうにない。


 



写真)ジャマル・カショギ氏 Jamal Khashoggi

出典)flickr : POMED (Public Domain)


 


なお、直近でヤマを迎えそうなのが、スーダン情勢である。スーダンでは昨年来、経済問題をめぐる辞任要求デモが継続し、連立を組む政党の離反や、政権を支えてきた政治家の反発も見られている。スーダン情勢の混乱は石油価格への影響のみならず、アフリカの「飢餓ベルト」で勢力を拡大するテロ組織の更なる伸長を促す可能性もある。


 


このように、本年も中東は混迷を突き進みそうである。かつてのように、中東の不安定が第三次世界大戦の火元とみられる時代は終わった。中東の不安定が油価を急激に押し上げ、世界経済を恐慌に導く可能性も少なくなった。しかし、中東における不安定と権力の空白は、テロの萌芽・伸長や国際秩序の崩壊を招くに十分なインパクトを有しており、それはとりもなおさず、中東以外にも伝播することを忘れてはならない。


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