半世紀ぶり「反乱の年」となるか(上)~2019年を占う~【内政】
Japan In-depth / 2019年1月8日 16時25分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・半世紀前、日本では学生運動として終わったが、仏のパリ五月革命はド・ゴール大統領を退陣させた。
・反体制運動が日本に波及するか否かは経済の動向次第。
・今の社会変化・政治的局面は半世紀前を彷彿とさせる。
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ちょうど半世紀前、1969年1月18日から翌19日にかけての「東大安田講堂攻防戦」をご記憶の方は、読者の中にどれだけおられるだろうか。かく言う私自身が、まだ小学生で、TV中継を見た記憶が、おぼろげにある程度なのだが。
写真)事件の起きた東大安田講堂事件
出典)Wiiii
背景について端的に述べると、戦後ベビーブーム世代=団塊世代が大学生になった当時の話で、旧態依然たる権威主義的な大学運営に対する反発が高まってきていた。
折から世界的にヴェトナム反戦運動が高揚していたこともあり、学生運動の高揚期と後に呼ばれるような世相があったのだ。具体的には、私学の多くでは授業料値上げ反対運動、東大では医学部の封建的な研修制度に反対する「インターン問題」が契機となり、多くの学生が(興味本位の者も相当混じっていたとは言え)集会やデモに参加するようになっていったのだ。
写真)1967年の米国におけるベトナム反戦運動
出典)US Army
そして、最初から暴力に訴えていたわけではなく、大学当局との団体交渉を試みたものの、突っぱねられたためストライキに入った、という経緯がある。このためまた、今となっては信じがたいことなのだが、大衆からも一定の支持が得られていた。
バリケードの中にいる学生に、お菓子を配って歩く「キャラメルママ」が登場したり、逮捕された活動家の保釈金など、街頭カンパでもって、総額では億単位にもなる現金が実際に集まった。後に判決が確定した者には払い戻され、これが1970年代前半の新左翼運動の重要な資金源となったほどである。
ただ、この時期の学生運動については、あくまでも学生運動として終わった、という総括がなされたことも指摘しておかねばならない。どういうことかと言うと、学生がいくら激しい反体制運動を繰り広げようが、労働者・大衆が後に続かない限りは、世の中を変えて行く力になどなり得なかったのだ。
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