半世紀ぶり「反乱の年」となるか(上)~2019年を占う~【内政】
Japan In-depth / 2019年1月8日 16時25分
日本でも、お焦げのある米飯の方がおいしいと言われるが、フランスのグラタンにも同様の発想があるらしい。もっとも、皮肉屋揃いの国柄だから、本当に食べて滋養があるのは下の方だ、という意味が込められているのかも知れない。
今次のフランスでの反体制運動は「黄色いベスト運動」と呼ばれているが、たしかに映像を見ると、でも参加者の多くが蛍光色のビニール製ベストを着ている。日本でもよく見かけるが、外で働く人や自転車通学をする人が、交通安全のために着用するものだ。前にも述べたが、今や誰かがSNSで、これを着てデモをやろう、と呼びかけたら、たちまち万単位の賛同者が現れることも珍しくない。そう言う時代なのだ。
ここで問題なのは、半世紀前のように、こうした反体制運動が日本にも波及する可能性ありやなしや、ということだが、私は、経済の動向次第だと考えている。
日本でも前世紀の終わり頃から、格差の問題が取りざたされてきてはいるけれども、まだまだ英国の伝統的な階級社会や、フランスのようなひどい格差社会とは事情が異なる。
ただ、2019年には、消費税の値上げと雇用形態の大きな変化(世に言う働き方改革)という、経済のみならず社会構造に大きな変化をもたらしかねない案件が控えている。
景気が上向いている時ならばまだしも、米中の貿易摩擦などもあって、米国経済がそろそろスローダウンしてきているご時世に、消費税が引き上げられ、専門職の残業手当が削減されるというのは、中産階級の没落=貧困の拡大という結果を招きかねない。
そうなれば、当然、社会不安が拡大するが、そこで反政府感情が盛り上がったところで、今の野党には、その受け皿となって政権交代を目指す実力と気概があるだろうか。これもまた、既成の社会主義政党など当てにならない、として過激な反体制運動が盛り上がった半世紀前を彷彿させるのである。
なおかつその先、具体的には2020年には、いよいよ憲法改正を発議する、と安倍政権は公言している。再び半世紀前の話をすると、1970年の日米安保条約自動延長という、大きな政治テーマが控えていたから、69年に反戦運動が盛り上がりを見せたという側面があった。
後半で、この問題をもう少し詳しく見るとしよう。
トップ写真:1960年、国会を取り囲んだデモ隊の様子 出典:朝日新聞社「アルバム戦後25年」
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