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半世紀ぶり「反乱の年」となるか(上)~2019年を占う~【内政】

Japan In-depth / 2019年1月8日 16時25分

 


実はこの前年、フランスでは「パリ五月革命」と呼ばれる騒ぎが起きていた。こちらも当初、デモなどを主導したのは大学生であったが、労働組合が呼応してゼネストにまで発展し、ついには当時のド・ゴール大統領を退陣に追い込んだ。



写真)ド・ゴール大統領


出典)Office of War Information, Overseas Picture Division


 


2018年の秋にも、フランスにおいては燃料費値上げなどに対して、多くの学生や市民が抗議デモに参加し、一部は暴動化した。マクロン政権は結局、値上げ案の棚上げに追い込まれたことは記憶に新しい。



写真)東フランス・ヴズールでの黄色いベスト運動の様子


出典)Obier


 


これについては、フランスのみならず、先進国の多くで見られる、格差社会への反発という要素を見逃してはならない。


 


パリ大学から政治学院、そしてエリート官僚養成機関である国立行政学院を経て、投資銀行に就職したエマニュエル・マクロン大統領が、環境保護の観点から「脱炭素社会」を目指してガソリンなどへの課税を強化しようとした政策が、なぜ理解を得られなかったか。



写真)エマニュエル・マクロン大統領


出典)EU2017EE Estonian Presidency


 


在仏ジャーナリストの広岡裕児氏も指摘しているが(『週刊文春』2018年12月27日号)、ガソリン代の支払いに頭を痛めている人に「環境に優しい電気自動車の有用性」を説くがごときは、「パンがなければお菓子を食べればいいのに」と言い放った、あの王妃マリー・アントワネットを連想させるのである。


 


私自身、かつて一部の動物保護団体が、「毛皮を着るなら裸の方がマシ」と称して、本当に服を脱いでデモ行進する映像を見た際、あんなものは原子力発電やらなにやらのおかげで、冬でも凍えずに済む都会人の思い上がりに過ぎない、と評したことがある。念のため述べておくが、私は昔も今も原発推進派ではなく、本当に環境保護を考えるなら、毛皮を排撃する前に訴えるべき事があるのではないか、という論旨であった。


 


フランスに話を戻すと、もともとこの国では、上流階級やエリートは「グラタン」と呼ばれていた。料理のグラタンのことで、オーブンで焼くと上に薄皮のように焦げ目がつく。


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