仏陸軍スコーピオン計画と陸自装甲車調達(上)
Japan In-depth / 2019年1月20日 23時32分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
・フランスで装甲車輌群の調達計画「スコーピオン計画」進む。
・2018年6月、パリで陸戦兵器の見本市「ユーロサトリ2018」が開催。
・陸軍の中核である装甲車輌群のポートフォリオ一新、多様な現用車輌の統合も。
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仏国防省のDGA(装備庁)と仏陸軍は2014年に既存の主要装甲車輌群を一新する野心的なスコーピオン(SCORPION:Synergie du contact renforcée par la polyvalence et l'infovalorisation)プログラムを発表し、その後着々と進めている。装甲車輌のグランドデザインがない陸上自衛隊とは大きな違いがある。
昨年6月にパリで行われた陸戦兵器の見本市、ユーロサトリ2018でトライアル中のジャガー、グリフォンの2種類の装甲車輌を展示した。スコーピオンは仏陸軍参謀本部とDGAが2000年から着手して2億ユーロ(約300億円)の費用をかけて、既存の装甲車輌の役割をどのような後継車輌に割り振るのか、またFELIN先進歩兵システムとVBIC歩兵戦闘車のネットワークシステムとのシステムの統合などが検証さてきた。総予算は60億ユーロ(約7,800億円)が見込まれている。
スコーピオンは既存の最新8輪装甲車、VBCI(APC型520輌、指揮通信型110輌)と、装輪155ミリ自走榴弾砲はそのまま使用されるが、その他の主要戦闘装甲車輌は新たに開発、調達される6×6装甲偵察車、ジャガー、4×4汎用装甲車VBMR、6×6汎用装甲車で置き換えられる。またルクレールMBTの近代化もスコーピオンに含まれている。因みに砲兵システムでは旧式で装軌式のAUF1155ミリ自走砲は全てカエサルで更新される。このため現在の77輌に加えて32輌のカエサルが追加発注される予定だ。
▲写真 CAESAR6x6 提供:NEXTER
仏陸軍はこれら車輌を核とした(GTIA:Groupement Tactique Inter-Armes)と呼ばれる大隊規模の歩兵、機甲、砲兵、兵站その他の支援部隊を統合した、ミニ旅団とも言える諸兵科連合部隊(人員約千名)を編成する。GTIAは海外などへの緊急展開へも投入される予定だ。最初のGTIAは2021年に編成され、GTIAを中核とする旅団は2023年に編成、二つ目の旅団は2025年に編成される予定である。
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