ゴーン問題で仏経済格差浮彫り
Japan In-depth / 2019年2月2日 3時18分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・ゴーン問題は仏国民の政府への不信感を増幅させた。
・「富裕層のタックスヘイブンへの税金逃れ」違法でないことが一番の問題点。
・日本では「武富士事件」を受け、租税回避防止のため厳格な法整備が行われた。
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フランスのルメール経済財務相は1月27日、仏自動車大手ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)を辞任したカルロス・ゴーン被告について、退任に伴う高額な手当や報酬は認められないとの考えを示しました。また「法外な額になれば、誰の理解も得られないだろう」とも述べています。この発言は、現在活発な活動が行われている黄色いベスト運動に表される、格差に不満を持つ国民感情に配慮するためであることは間違いありません。
ゴーン氏がオランダに税拠点を置いていたことについて、フランスの国民の多くが不信感を抱きました。しかも、ルメール氏がゴーン氏の逮捕当初、「納税状況に不正な点は見当たらない」と言ったこともあり、国民をだましていたのではないかと政府非難にもつながっています。さらに、昨年の12月10日に、「フランスの会社のリーダーはフランスで税金を払わなければならない」とエマニュエル・マクロン大統領が発言してるのに、なぜ実現されていないのかと非難は高まるばかり。
▲写真 デモに参加する黄色いベスト着用者。胸には「Révolte(革命)」のシール 出典:Frickr; Christophe LEUNG
「個人の資産をどうしようと勝手ではないか」
「裕福であることが罪なのか」
と言う声ももちろんあります。しかしながら、この過去30年間で、最も裕福なフランス人の10%の収入が6%増加し、最も貧しい50%の収入が8%減少したと言う報告もあり格差問題は、深刻化しています。
収入も少なく、生活にも困窮する状態なのに、さらに燃料税を上げて搾り取ろうとしていた。そんな中、富裕税を払ったとしても生活に困窮しない十分な金額が手に入る富裕層、しかも国民の人口の1%しか得られない高収入を得ている国の大企業のトップが最終的には社会にも還元される税金を逃れようとする行為は、フランス革命を経て、市民が国家のオーナーとなったフランスで受け入れられるはずがありません。
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