ゴーン問題で仏経済格差浮彫り
Japan In-depth / 2019年2月2日 3時18分
ベルギー人で欧州議会の議員でもあるフィリップ・ランベール氏が、フランスのメディアFranceInfoにて、オランダはタックスヘイブンであることが知られていることを語り、さらにゴーン氏に対してもこうコメントしていました。
「すべてが合法的なのかもしれませんが、しかしどうでしょうか、今多くの市民たちがますますレモンのように絞りられているこの時期に、路上でデモしている男性や女性が聞くに堪えられる内容でしょうか。」
▲写真 フィリップ・ランベール議員(2014)出典:Frickr; stanjourdan
ランベール氏もこいった行為は合法であると触れていますが、実は、海外飛び回る富裕層がいくら税拠点を海外に移しても、現時点では違法ではないことが一番の問題点なのです。
ここで思い出されるのは、日本で起きた「武富士事件」。この事件は、贈与税を回避するために、生活の本拠(住んでいる場所)を日本から香港に移したうえで、消費者金融の会社の元会長が、そのご子息に対して所有していたオランダ法人の株式を生前贈与した結果、日本での約1300億円の贈与税を免れた事件です。
この件でもオランダに作られたペーパカンパニーは重要な役割を発揮し、裁判長としてはやりきれない気持ちがありながらも、納税者の租税回避を容認せざるを得なかった事件となりました。
「一般的な法感情の観点から結論だけをみる限りでは,違和感も生じないではない。しかし,そうであるからといって,個別否認規定がないにもかかわらず,この租税回避スキームを否認することには,やはり大きな困難を覚えざるを得ない。
裁判所としては,立法の領域にまで踏み込むことはできない。後年の新たな立法を遡及して適用して不利な義務を課すことも許されない。結局,租税法律主義という憲法上の要請の下,法廷意見の結論は,一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれども,やむを得ないところである。」(引用:我が国における租税回避否認の議論)
この時代の法律では、違法とすることはできなかったのです。これを受け日本ではその後、法整備が行われてます。平成12年4月1日以降、日本国籍を有する者同士の間で国外財産を贈与した場合に、贈与税が課税されないようにするには贈与者、受贈者ともに5年超国外に住所を移している必要となりました。そして、さらに平成29年度税制改正では、5年超から10年超へと厳格化されました。
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