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トランプvsべゾス 対立と融和の愛憎

Japan In-depth / 2019年2月9日 23時0分

アマゾンに関して言えば、トランプ大統領は「脱税しているのに罰を受けていない」などと攻撃してきた。ところが、税制改革で同社は2018年に7億2300万ドル、2019年には13億ドル、合計20億ドルもの節税ができると試算される。


「脱税」に対する罰どころか、ほうびをもらっている。だから、ベゾスCEOにとりトランプ大統領は「問題」というよりは救世主なのだ。2人の関係は、メディア報道では対立するが、「米国第一主義」の面では緊密に一致しており、ベゾスCEOはそれに乗る「政商」なのである。さらに、脅迫を受ける彼は、脅迫をする者でもあり、現実は複雑なのだ。


 


■「被害者ベゾス」と「加害者ベゾス」


アメリカン・メディアに脅迫される「被害者」としてのベゾスCEOは、アマゾンのトップとしてニューヨーク市のロングアイランドシティに設立を計画している第2本社(HQ2)に関して、地元を脅す「加害者」でもある。


アマゾンの幹部は最近、ニューヨーク市の当局者に、「第2本社に対する住民の反対が大きすぎる」として「第2本社建設計画を再考の上、代替案を検討する」と伝えた。


地元政治家が反対を抑えなければ、カネやヒトをもたらさないという、一種の脅迫である。ニューヨーク市やニューヨーク州からアマゾンに提供される約30億ドル(約3300億円)分の助成金と税優遇措置に加え、高収入のIT労働者流入で地元住民の生活コストが急上昇して住処を追われる恐れや、地下鉄や幹線道路のさらなる混雑が予想されるため、住民や一部政治家の反対が高まっているのだ。


貧困層のための地域再開発の助成金が、アマゾン向けに流用される計画への強い住民の憤りは、ほんの序の口に過ぎない。地元選出の民主党の新星アレクサンドリア・オカシオ=コルテス米下院議員も、「アマゾンのやり方は下劣」と批判するなど、第2本社建設前からアマゾンは地元の敵のように見られている。



▲写真 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス米下院議員 出典:US House of Representatives


実は、アマゾンが2017年に第2本社建設候補地の選定開始を発表した直後から、こうした非難は続いていた。米『ロサンゼルス・タイムズ』紙の経済コラムニスト、マイケル・ヒルツィック氏は、「アマゾンの手法は、公共福祉の立場から見れば、間違っている。『第2本社』を建設することでアマゾンが自治体から賄賂を受け取るのではなく、本社を置かせてもらえる特権に対して、アマゾンが受け入れ都市に諸費用を支払うべきだ」とこき下ろしている。


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