バブル時代の歩き方(上)~ロンドンで迎えた平成~その2
Japan In-depth / 2019年2月13日 0時16分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・日本のバブルの波は地球の裏側の英国まで届いていた。
・1983年は1ポンド360円だったが80年代末期には220円になった。
・バブル期は英国にいる筆者ですらその恩恵を受けた。
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『バブルへGO!!』という映画をご存じだろうか。阿部寛演じる経済官僚が、タイムマシンで「あの時代」に乗り込み、バブルを崩壊させた政策にストップをかける、という設定のコメディで、2007年に公開された。
ただ、実際にタイムトラベラーに選ばれたのは広末涼子(以下ヒロスエ)演じるフリーターの女の子で、その理由は「タイムマシンはドラム式」というサブタイトルで暗示されている。ドラム式洗濯機にしか見えない外観で、サイズの制約から、「全長160センチ以下、最大直径80センチ以下の物体しか電送できない」ということで、つまり、ヒロスエのような小柄で細身の女の子でないと無理なのである。今なら、こういう描写自体がセクハラだと言われたかも知れない。余談だが、本物の(?)ヒロスエは161センチあるそうだ。
ともあれ、1990年3月の東京へとタイムスリップしたヒロスエ(役名は田中真弓)は、2007年の感覚では考えられない、バブルの空気を満喫する。当時、六本木のイタリアン・レストランでしか出してなかったというティラミスを一口食べて、「これ、やばーい」と歓声を上げた途端、マネージャーがすっ飛んできて、「なにか問題でも?」と心配顔で尋ねるシーンでは爆笑した。もっとずっと前から、若い女の子がああいう言い方をしていたようなイメージを持っていたのだが、バブルの時代には、まだ広まっていなかったのか。
色々なところで述べてきたが、私は1983年から1993年まで英国ロンドンで暮らしていたので、バブルに沸いた東京の様子を、リアルタイムでは見ていない。ただ、地球の裏側にも、波は打ち寄せてきていた。ひとつの例が、ヒースロー空港のターミナル3である。2015年に、老朽化したターミナル1が閉鎖されるなど、今世紀に入ってから大きく様変わりしているが、1980年代にはターミナル1から3まであった。
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