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日本の救命教育は世界水準の半分以下~世界が挑戦 市民への統合型救命教育~3

Japan In-depth / 2019年2月22日 18時0分


▲図 救命能力比較「日本のCall Push\「正解のCall CAB」制作:照井資規


世界の救命手当教育「Call CAB」は外傷まで幅広く対応でき、救命能力は日本のCall Pushの倍以上ある。


市民への救命教育を総合的に労力と資金を費やしてまで推進するのは以下の効果が極めて有用なためである。



1 外傷傷病者の救命


2 災害時の最大多数の最大救命


3 テロと戦争の抑止



救急車到着前にその場に居合わせた市民による手当が行われていれば傷病者の救命に効果大である。特に働き盛りの年齢層の死亡原因の上位を占める外傷死を減らすことが出来れば、国力の維持向上に役立つ上に医療費も抑えることができる。


ここで言う「災害時の最大救命」とは自然災害もテロのような人為災害にも共通して当てはまる。海外では戦争も災害として考える。市民が致命的大出血への対応能力を持っていれば、頭部や体幹部の重症外傷傷病者など、医師でなければ救命できない症例に限られた治療能力を振り向けることができる。災害が同時に多数の傷病者を発生させる一方で、治療は一人ずつ行う他はない。市民の誰もが救護能力を持つことは、災害時の治療能力の大きな資となる。


市民による救命止血法の普及はテロや戦争への抑止効果も期待できる。テロも戦争も目的を達成するために最大多数の殺傷を狙うものであるが、市民が高い救護能力を有していれば、まず、パニック状態に陥るおそれが少なくなる。混乱状態の発生を抑えられることだけでも、相当な抑止効果である。テロを発生させたとしても、現場で整然と救護活動が行われ、治療能力が重症者と危機に対処する警察官などに集中して投入されるのであれば、テロを発生させた効果が減殺される。こうした対策がなされていることが周知されれば、テロを発生させようとする意志が弱くなる。予防に勝る治療が無いように、発生させないことが最良の対策である。市民への救命手当教育の普及は間接的な防衛力発揮であると言える。


救命手当教育Call CAB などの詳細は、http://tacmeda.com/を参照されたい。様々な公開資料もダウンロードして活用できる。


(4に続く。全4回)


 


(※1)ILCOR「イルコア」


International Liaison Committee On Resuscitation


ベルギーに本部がある国際蘇生連絡協議会


 


(※2)CoSTR「コースター」


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