LNGトラックは水素トラックを駆逐する
Japan In-depth / 2019年3月3日 7時0分
対して水素トラックは安価に取得できない。燃料電池は高い。同出力のガソリン、ディーゼルよりも割高であり将来的にも下回る確証はない。
燃料タンクも高額となる。現状は圧縮水素利用である。350~700気圧の高圧容器を利用している。また航続距離を稼ぐために巨大タンクとしなければならない。
つまり導入価格では大差が生まれる。LNGトラックは軽油トラックの1~2割増で購入できる。燃料タンク分が高くなるCNGトラックでも既存車両の25%増でしかない。当然だがLNGはそれよりも安い。対して水素トラックはその価格では作れない。導入価格は既存トラックのまずは2倍を超えるためだ。
■ 燃料価格での優位
燃料費でもLNGトラックは優位に立つ。LNGは輸入/製造価格も物流コストも圧倒的に安い。
LNG燃料は軽油の約半額である。2月末の東京市場の税抜軽油は63円/L、同エネルギー量のLNGは日本輸入時で36円でしかない。(*4)
水素はそれよりも高い。LNGを原料として製造しなければならず、製造ロスも避けられない。エネルギー100のLNGから作れる水素のエネルギー量は70だ。つまり軽油1L相当の水素は原材料価格だけで51円となる。
また物流段階でも差がつく。
LNGは最後まで液体として扱える。船舶輸送もローリーによる陸上輸送もスタンドの貯蔵も、トラックへの燃料補給も全てLNG、液体である。取扱設備も魔法瓶タンクとポンプだけでよい。
水素は複雑だ。気化・液化・気化・圧縮工程を必要とする。水素製造時にLNGは気化され、完成水素は輸送・貯蔵のため液化される。そしてスタンドでの吸気時に再び気化され、その上で圧縮供給される。そのための設備と動力が必要となる。
特に液化コストは大きい。単純比較できないがLNGの液化コストは100万BTUあたり3ドルといわれる。軽油1Lに相当する3.6万BTUあたりなら12円である。水素製造価格51円に12円を足せば63円になる。
▲画像 エネルギー収支
■ 貨物搭載量の優位
最後が貨物搭載力の差だ。これもLNGトラックは優位に立つ。燃料タンクは比較的小さく形状も自由に作れる。水素トラックのように荷台面積や貨物室容積を減少させない。
LNGタンクはトラック設計の邪魔とならない。車台下の余剰空間に合わせて作れるためだ。タンク容積は軽油トラックの6割増でよい。軽油300Lタンクの走行距離はLNG500Lタンクで達成できる。また形状の制約も小さい。耐圧性不要のため自由な形に作れる。
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