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LNGトラックは水素トラックを駆逐する

Japan In-depth / 2019年3月3日 7時0分

水素タンクはそうはいかない。まず容積が大きい。700気圧タンクでも軽油と比較して6倍のタンク容積が必要となる。軽油300L分を走るには圧縮水素1800Lのタンクが必要となる。また形状に自由度はない。球形あるいは円筒形が求められる。そのため四角に作られるトラックでの収まりは悪く空間の無駄は大きい。


これは何を意味するか?


水素トラックは商売にならない。荷台や貨物室の一部を潰してタンクにしなければならない。つまり荷物を運んでいるか水素タンクを運んでいるか分からない状態となる。


 


■ 軽油トラックとの共存


もちろん、LNGトラックにも不便はある。最大の問題は燃料蒸発損だ。放置すると消えてしまう。持ち越しはできず使い切りが求められる。その点で運行者を選ぶ。稼働率が高い運輸会社との相性はよい。だが運行密度が低い製造業や商業、建設業のトラックには合わない。


そのため従来トラックを駆逐はしない。バイオディーゼルを含む軽油ディーゼル完全に置き換える存在とはならない。


しかし、それでも水素トラックの普及は封殺される。運輸会社はランニング・コストが低いLNGトラックを選ぶ。それ以外の企業は取得コストが安く搭載量が大きい従来トラックあるいはEVトラックを選ぶ。いずれも高コストとなり輸送効率が悪い水素トラックは選ばれない。


 


注)



*1 水素社会はうまくいかない。筆者はその旨を本媒体で数度述べている。


「衝撃!『水素社会』は来ないその1」(2016.2.11)


「衝撃!『水素社会』は来ないその2」(2016.2.11)


「水素自動車は普及しない」(2018.3.11)


「水素電力貯蔵はバナジウム電池に敗北する」(2018.9.24)


 


*2「参考資料」『自動車新時代戦略会議(第1回)資料』(経済産業省,2018.4.18) p.4


自動車全体の数字だが、現時点で売れている電気自動車と水素自動車は、ほぼ乗用車だけだと考えてよい。


 


*3 「水素自動車は普及しない」(2018.3.11)


 


*4 2月末の天然ガス相場は北米ヘンリー・ハブ渡しで3USD/MBTUである。液化に3ドル、日本向け輸送費に3ドルをみると東京価格は9ドル、約1000円となる。100万BTUは25万kcalで軽油28リットルに相当する。つまりLNGを軽油に換算すると36円/Lである。なお2月末の東京相場では税抜軽油は1リットル63円である。



トップ写真:LNGトラック 出典:「日本初の大型LNGトラックの公道走行実証の開始について」環境省(2018.5.25)


 


【訂正】2019年3月3日


本記事(初掲載日2019年3月3日)の本文中画像2枚が清谷信一氏の記事(2019年3月2日掲載)のものでした。お詫びして訂正いたします。本文では既に差し替えてあります。


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