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金正恩に非核化の意思なし 2

Japan In-depth / 2019年3月11日 7時0分

金正恩に非核化の意思なし 2


朴斗鎮(コリア国際研究所所長)


【まとめ】


・北朝鮮が解除を求めたのは5件の国連制裁決議。


・金委員長の野心と焦りで失敗に終わった「トップダウン外交」。


・北朝鮮幹部と米国へ向く金委員長の怒りと復讐。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44616でお読みください。】


(この記事は1の続きです)


 


2)米国は安保理制裁の効果も確認


北朝鮮が今回の会談で、寧辺核物質生産凍結・破棄の対価として強く求めたのは、終戦宣言や平和協定ではなく、2016年以降の国連制裁決議である2270(2016年3月)、2321(2016年11月)、2371(2017年8月)、2375(2017年9月)、2397(2017年12月)の解除だった。これらの制裁を解除させ体制を立て直せば終戦宣言などはいつでも手に入れることができると踏んでのことだと思われる。


北朝鮮の制裁解除に対する強い要求によって、トランプ大統領は、国連安保理制裁が北朝鮮経済を疲弊させているということをあらためて確認するとともに、対北朝鮮交渉の強力なカードだということも確信した。


安保理が2006年以降に採択した北朝鮮関連の主な決議は11件ある。しかし2016年までの5件は大量破壊兵器に使われる物資を中心とした制裁だった。


2016年1月以降の度重なる北朝鮮の核・ミサイル実験に対応し、2017年末までに課した制裁は6件であるが、旅行制限に関した1件を除く5件は北朝鮮経済を直撃した。その主な内容は、原油の輸入制限、農水産物および繊維の輸出と労働者の出稼ぎ禁止、新規投資と合弁の禁止だった。


5件の中でも特に2017年8~12月の3つの決議が核心である。それは、北朝鮮の命脈を握るエネルギー源と外貨獲得源の徹底的遮断を目指していた。ガソリンや灯油など石油精製品の輸入量を450万バレルから50万バレルと9割減まで制限し、石炭、鉄、鉄鉱石、海産物の輸出を全面禁止した。北朝鮮労働者を受け入れている国に対しては2年以内(今年11月)の本国送還を求めた。


 


3)金正恩の権威失墜で北朝鮮体制に大きな痛手


北朝鮮の朝鮮中央通信は3月3日、金正恩委員長が、ベトナム・ハノイ訪問の結果について「満足の意」を示し、専用列車で帰国の途に就いたことを報じたが、米朝会談の決裂については報道しなかった。米朝会談の失敗をベトナム政府の歓待宣伝で糊塗(こと)するほかなかったようだ。金正恩委員長の帰国列車は中国を最短で北上し、3月5日午前3時に平壌駅に到着した。労働新聞は「わが党と国家、軍隊の最高領導者の金正恩同志がベトナム公式親善訪問を成果的に終え、祖国に到着した」と報じ、平壌駅に到着した写真を掲載した。


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