1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

海自ミサイル艇を廃止のわけ

Japan In-depth / 2019年3月11日 15時20分

 


  


写真)オーサ級ミサイル艇〈冷戦期ソ連で300隻近く建造された。印パ戦争で無双したインド艇はそのソ連供与艇である。〉


出典)Wikimedia Commons:Trinhvan21


 


■ 軍艦との交戦不利


 


第2の原因は軍艦との交戦不利である。


 


これも80年以降に生じた変化だ。まずは第1で述べた対艦ミサイル防御技術が軍艦に普及した。その上、普及型ミサイルの登場により軍艦自身も対艦ミサイルを搭載した。その結果である。


 


その影響は軍艦とミサイル艇の戦いをイメージすればわかりやすい。軍艦は対艦ミサイル防御を備え、攻撃用に対艦ミサイルを搭載している。ミサイル艇は対艦ミサイルだけを搭載している。その両者が戦う状況である。


 


先に攻撃する側はどちらか?軍艦である。レーダ能力は高くヘリも搭載している。軍艦は距離200㎞でミサイル艇を探知できる。対してミサイル艇は距離100㎞でなければ探知できない。互いに射程150㎞のミサイルを搭載してもミサイル艇は後手に回ってしまう。


 


ミサイル迎撃のチャンスがあるのはどちらか?これも軍艦である。対空ミサイルや大砲、機関砲による迎撃、電波妨害やアルミ箔条散布で対艦ミサイルを無効化できる。ミサイル艇はアルミ箔条散布程度しか実施できない。圧倒的不利である。


 


命中しても沈まないのはどちらか?やはり軍艦である。対艦ミサイル1~2発ではまずは沈まない。また命中後に反撃もできるかもしれない。対してミサイル艇は1発命中で爆散する。反撃の可能性はない。


 


たいていの状況で軍艦はミサイル艇を圧倒するのだ。実際に1986年のシドラ湾事件では米巡洋艦はリビアのミサイル艇を先制攻撃し圧倒した。最近なら2016年のイエメンでの事例もそれを示唆している。地対艦ミサイルとの交戦だが、米駆逐艦は即座に迎撃し陸上に反撃を加えている。


 


ミサイル艇では敵軍艦には対抗できない。そのような時代となったのだ。


 



写真)米巡洋艦ノルマンディ〈米軍艦はミサイル艇を返り討ちにしている。写真はUSSノルマンディ。86年のシドラ湾事件で先制攻撃したUSSヨークタウンの同型艦である。〉


出典)AMERICA’S NAVY FORGED BY THE SEA: Photographer's Mate Airman Mathew Keane


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください