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ゴーン氏支えるレバノン人脈

Japan In-depth / 2019年3月14日 18時0分

ゴーン氏はブラジルで生まれたが6歳の時に母親と姉と共にレバノンに移り住んでおり、フランスに進学するまでの子供時代をレバノンで送った。


レバノンは地中海に面する中東の国で、イスラエルと国境を接している。レバノン国内の人口は約610万人。しかし、その数を大きく上回る「レバノンディアスポラ」と呼ばれるレバノン人が海外各地に居住しており、その数は1400万人と言われている。しかも、世界中にちらばったレバノンディアスポラの起業家やビジネスマンの多くは、ゴーン氏ほどではなくとも、あらゆる種類の分野において成功しており、レバノンと言うアイデンティティを軸に強力なネットワークを作りあげているのが大きな特徴だ。


そういった成功したレバノンディアスポラからは、多くのお金がレバノンの家族に送金されている。こういった送金は「見えざる収入」と呼ばれ、国の発展に貢献してきた。一時期は国内総生産(GDP)の26%に達したこともあったこともあるほどだ。しかし、近年はその送金額が占める割合も年々減ってはいるものも、それでもGDPの13.2%(2017年のデータ。世界銀行より)を占めている。これは日本では海外からの送金額がGDPの0.09%しかないことを考えると、かなりの大きな割合と言えるだろう。このことからも、レバノンでは海外に住んでいる自国に関係する人間に対する接し方は、日本人が考える海外在住者とのかかわり方とは違う。多くのレバノンディアスポラは、成功者であり尊敬される存在なのだ。


ゴーン氏レバノンディアスポラの中でも最も成功している人物とされていた。前出のナディム・ナデール氏はこう言う。「ゴーン氏は、ただレバノンディアスポラだからといってこれほど尊敬されているわけではない。彼は、レバノンに多くの投資をし、会社を作り、人々を助け、学校を無料で助けたからだ。」こういった功績に対し、レバノン政府はこれまで何度もゴーン容疑者を表彰しており、2017年にはゴーン容疑者の肖像が郵便切手のデザインにも採用された。


そのため、レバノンの政治家も逮捕されたゴーン氏への支援に積極的だ。レバノン外務省は11月27日、レバノン駐在の日本の大使を呼び、ゴーン氏は「レバノン人の重要な成功例」だとしてこの件を注視していることも伝えた。マシュヌーク内務大臣も、ゴーン氏の逮捕時にはこう述べている。「彼はレバノンのディアスポラの成功の例です。私たちは彼の成功を誇りに思う。この苦しい試練の中で、レバノンの鳳凰は日本の太陽によって焼かれることはないでしょう。」


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