高知東生氏が自分を語る意義
Japan In-depth / 2019年3月22日 18時0分
実は、この番組の中で、高知氏自身でおっしゃっているが、高知氏の主治医はこの松本俊彦先生である。では、誰が高知氏を松本先生に繋いでくれたのか?私も不思議だったのだが実はこれ麻取(麻薬取締官)なのである。正直TVに出まくっている元麻取の方は、大して有益な情報もおっしゃられないし、「薬物依存症」を「薬物中毒」などとおっしゃっていて一昔前の方という印象否めない。もちろんそれを起用しまくっている制作者側に問題があるのだが、麻取も回復を願う方もいるのだな!と驚いた次第である。番組がニコ生だったので、この場面にコメントが集中し「ま、マトリに!」「いいマトリもいるんだ!?」「回復を麻取りに相談!?」「マトリgood job」「マトリやったな!」などと入ってきて面白かった。麻取にもこういった側面もあるのに、現在のワイドショーでは、取り締まりや薬物をあおった話ししか出てこないのも問題である。
またこの対談の中で、松本先生がお話しされた情報はことさら興味深かった。なんでも国連では「薬物問題は司法的な問題としてあるいは刑罰の対象とするのではなく、健康問題として支援の対象とするべき」という決議があるとのことなのだ。となるとその国連決議に批准していないのは日本の方であり、さらにそこに乗っかって国際社会の流れとは逆行しているのが今のマスコミの姿なのである。
これは昨年の11月に私が招聘された、バチカンの国際会議でもヒシヒシと感じたことで、ローマ法王も「薬物依存症者に対し、神の子として大切に扱うように」とおっしゃっておられ、世界各国からの報告でも、「治療」と「回復」「社会復帰」にフォーカスが当てられていた。日本の芸能界のように、人格を貶め、復帰させないなどという吊るし上げなど行われていない。是非、この記事も再読して頂きたい。
写真)法王に謁見する田中紀子氏
©田中紀子
そしてこの国際的な流れ、オランダの非犯罪化、カナダの大麻解禁などについて「海外では薬物問題がどうにもならない位蔓延していたので仕方なく解禁した。」というデマを言っているエセ専門家がいるらしいが、そうではなくオランダやカナダもかつては日本と同じ厳罰主義だったのが、それでは上手くいかないというサイエンスに基づいて取り入れられた政策なのだそうだ。日本は今後、薬物問題に対し「サイエンス」を取り入れていくのか?それとも一部の影響力の大きいエセ専門家と化したタレントたちの「イデオロギー」でミスリードされたままになるのか?考えて頂きたい。
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