高知東生氏が自分を語る意義
Japan In-depth / 2019年3月22日 18時0分
また「そもそも犯罪に手を染めたから全部ダメ」という「そもそも論」は、非犯罪化にし「治療対象の健康問題」ととらえれば全てが解消する。番組の中でも松本先生がおっしゃっていたが、昔は処罰の対象であった「姦通罪」は今では犯罪ではない。姦通罪を復活させて犯罪者を増やすことで、何か社会的メリットがあるだろうか?
その上、現在のように司法が裁くだけでなく、さらにメディアが私的リンチを加え、血祭りにあげ、薬物依存症者とその家族にはなにを言ってもやっても良い、憶測を取り上げなんでもゆるされるという「いじめ」の構図がまかり通っていく、こんな社会が果たして健康的と言えるのであろうか?これでは我々依存症者とその家族はますます居場所を失うばかりである。
さらに現在ピエール瀧氏の事件で、出演作品の自主回収や販売自粛、番組差し替えの問題などが大きく報道され、これら作品に対し影響力の大きいタレントらが、ニセモノ扱い、ドーピング作品などとまで言い出したことには心底驚いている。
正義感を振りかざして、かつて同じ芸能界で生きた仲間であっても、反論できない人に対しては、とことんまで「いじめ」ぬく、この位の根性がないと日本の芸能界では生き残れないのかとむしろ感心する。
しかも彼らは、「薬物を使えば飛躍的に能力が伸び、突然素晴らしい作品を生み出すことができるスーパーマンのような作用をもたらす。」と自分たちの無知から間違った知識を社会にばらまき、むしろ薬物の使用を青少年に煽っている害に気がついていない。
少し考えれば誰でもお分かり頂けると思うが、万が一、私がコカインを吸引したとしても、決してピエール瀧氏のような名演技もできないし、「Shangri-La」のような名曲は生み出せない。太宰や芥川のような作品も書けないし、ロートレックやユトリロにももちろんなれない。才能や努力そして作品の出来栄えと薬物問題など無関係である。
むしろ薬物問題が進めば、パフォーマンスは落ち、すぐにイライラするようになるので、薬物を使って良い作品ができるなど有り得ない。
ちなみに海外セレブは、同業者が薬物依存症に陥ったからといって、急に手のひら返しで叩きまくるような醜いことはしない。例えば、大人気海外ドラマ「フレンズ」。こちらは日本でも大ヒットしたのでご存知の方もいると思うが、このドラマの放映中に出演者の一人マシュー・ペリーが薬物依存症に陥ったが、撮影中2度もリハビリ施設に入寮しながら出演は継続された。のちにマシューはインタビューで「薬物のせいで、シーズン3~6ぐらいの間の記憶が一切ないんだ。」と答えており、「薬物のせいでドーピング」など勘違いも甚だしい発言であることがここでもわかる。そして、マシュー・ペリーはのちに依存症者の支援を積極的に行い、その功績が認められてオバマ大統領から表彰もされている。
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