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「黄色いベスト運動」の人々(上)

Japan In-depth / 2019年3月30日 23時0分

「フーケッツ」は、名画「凱旋門」の舞台になったことで知られ、凱旋門や地下鉄の駅にも近く、週末は観光客に交じってパリジャンらが立ち寄る人気カフェ兼レストランだ。建物の一部は超高級ホテルでもある。このフランスを代表とするカフェが暴徒に荒らされたことで、多くのフランス国民をはじめとし、海外でも多くのフランスファンを悲しませた。しかも、この日はまったく富を感じさせることはない街角のニューススタンドまでが燃やされ、フランス人の黄色いベストデモに対する怒りと憤りを膨らませたのだ。

ニューススタンドの店主はそれでもラッキーだったと言う。なぜならその時間は通常ならば売り上げの清算をしている時間帯なのだ。デモ隊などの集団が来たことを受け一時避難したため、中に人が居るかも確認しないで火を放たれたスタンド内にはおらず、命だけは救われた。店主は次の日は、乗用車にその日の新聞を積んで焼け落ちたスタンドの横で新聞を売り続けた。「これを売っても今日は10ユーロぐらいにしかならないだろう。それでも収入がまったくないよりはましだから…」と。

フランス内務省はこの日、フランス全土でおよそ32,300人が集まり、首都パリではおよそ10,000人が参加したと発表。しかしながらその中には1,500人の「超過激破壊者」が居たという。この超過激破壊者は、「ブラック・ブロック」と呼ばれている。高級店やフーケッツの破壊や、ニューススタンドに火を放っている動画を見れば、そこには、上から下まで黒装束で、黒い覆面で身を固めた集団が先頭を切って行っていることが見て取れるだろう。この集団こそがまさしく「ブラック・ブロック」なのだ。

▲写真 ブラック・ブロック(2009年ワシントンDCにて)出典:Wikimedia Commons; Ben Schumin

黄色いベストを来てカモフラージュをしているが、その下は黒い服であり顔には黒いマスクをし、手には金づちを持っている人までいる。そして躊躇せず、目の間にある物を手当たり次第に破壊していく。黄色いベストが訴える内容に同調していると言うよりも、完全なる破壊専門者としか言いようがない。反政府集団者とも言われている「ブラック・ブロック」だか、実は何者なの、何が目的なのかよくわかっていない。身元を特定しようにも、顔を覆っているため顔認証もできない。特定のグループが入り込み意図的に行っている可能性もあるが、個人が各人別々に行っているとも言われている。

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